科学と社会 科学者の社会的責任 都留重人 岩波ブックレットNo.622

 2004年5月7日第1刷発行 一橋大学学長(72年―75年)

 

はしがき

第1章 科学の成果

第2章 「社会」から「科学」へ

    ー外生要因の影響

    軍事面からの外生要因

    企業営利面からの外生要因

第3章 科学の新しい成果

    ーそのプラスとマイナス

第4章 「科学」から「社会」へ

    ー科学技術の能動的作用

第5章 「科学」への期待

 

 本日付日経新聞12面に横山広美東京大学教授。専門は科学技術社会論)の

SNS現代社会 下 専門家も発信力鍛えよ」との記事が載った。

 ポイントには ○危機時には専門知が日々更新されていく

        ○専門知が対立する時はグループで発信を

        ○情報の渦から賢い取捨選択を心がけよう

 本文中に「科学者の社会的責任」について触れており、

 第1は研究不正のない責任ある研究の実施(質管理)

 第2は危険なものを作り出さないという責任ある製造

 第3は社会の求めに応じてわかりやすい説明をする応答責任

 を挙げている。

 昨今のSNSの情報拡散社会を踏まえて、専門家の持つ科学者の発信を、どの読み解き活用すべきかという問題提起を行った上記記事は、時期に適ったものではあるが、深さに乏しい。

 

 本書は相当古く、議論自体が昔からなされているけれども、科学者全体の社会における責任は果たされているのだろうか?という素朴な疑問は何ら答えてくれてはいないように思う。