ワンガリ・マータイ 「MOTTAINAI」で地球を救おう 環境保護運動家(ケニア) 筑摩書房編集部

2014年12月25日 初版第1刷発行

 

彼女の活躍を面白く思わない夫の裏切りによる不貞の讒言で離婚が認められてしまい、その裁判のコメントで法廷侮辱罪に問われて刑務所行きになってしまったなんて、知りませんでした。

その後、ナイロビ大学の教職を捨てて政界に飛び込んだものの、書類に不備があると難癖をつけられて大学に戻ろうとするものの、結局拒否され、41歳で仕事も収入も年金も家も全て失ってしまったということも知りませんでした。

そのため本腰を入れてグリーンベルト運動の普及に努め、ここから事態が好転し始めます。それにしても、一日18時間働き続けたといいます。そしてケニアだけでなく、エチオピアタンザニアウガンダルワンダモザンビークへと運動がどんどん広がっていきます。

そして国内でモイ大統領の独裁政権下の中でアフリカ一の高層ビルが建つ計画があると知った彼女は抗議の声をあげます。当初国内で抗議の声をあげることにすら反発されていたのにそんな声には一切構わず、国際世論も含めて動かそうと信念の行動を続け、ついに海外メディアがこの問題を取り上げて最終的に計画を断念させるところにまでこぎつけます。

ところが彼女の行動に恐れをなしたのか、突如52歳の彼女は反逆罪で牢に入れられることに。しかしこの時もアメリカのゴアさんをはじめとする8人の上院議員の警告により窮地を救われます。民主化の運動をしていた息子たちが逮捕され、その抗議活動のために彼女が率先して母親たちとともにハンストを起こし、約11カ月の闘争を続け、最終的にこの息子たちも釈放されるに至ります。悪しき権力と対峙しても、手を叩いてリズムを取りながら歌を歌いはじめることで戦いを激化させない知恵。「蛇のようにしたたかに、鳩のようにやさしくね!」という発想は素晴らしい。そしてノーベル平和賞を受賞され、翌年来日して「MOTTAINAI」を世界に広める活動に。そして最後には有名なハチドリの話で締めくくられています。享年71歳。亡くなったら土にかえって地球の一部になりたいと語っていたそうです。