自由への道 奴隷解放に命をかけた黒人女性 ハリエット・タブマンの物語

2019年6月11日 第1刷発行

 

2016年、アメリ財務省は新しい20ドル紙幣に奴隷解放のために力を尽くした元奴隷のハリエット・タブマンの肖像を使う方針を発表(トランプ政権でどうなることやらと心配された方もいたでしょうが、バイデン政権で予定どおり発行されそうです)。

奴隷が人でなく商品として扱われていた時代。どれだけ非人道的なことが繰り返されてきたか。南部のデラウエア州から北部のフィラデルフィアまでの自らの逃亡と、そこに命がけで献身的協力をしてくれた地下鉄道の人たちのことが前半にかかれていれ、それだけでもすごい話です。前半でハリエットの言葉に「体は束縛できても、心の中までしばることはできない。魂まで操るなんてことは、できっこないんだ。わたしのことを導いてくれるのは、神様だけ・・」とありました。

後半ではハリエットが南北戦争武装戦を率いたり、10年の間に13回も命を掛けて南部に戻り、車掌として奴隷の道案内を務め、およそ70人を救い出したこと(一人でも失敗すれば逃亡ルートがばれてしまって二度と南部から北部への逃亡ができなくなってしまう)などがかかれています。

そして最後には高齢の黒人のために施設を設立する夢を実現するため、まず土地を購入。もっとも支払いができず、結局ザイオン教会に譲渡するものの、完成した施設の名前は「ハリエット・タブマン・ホーム」。マザー・タブマン。「黒人のモーセ」とも。

紙幣に採用してほしい女性の歴史的人物を調査した結果1位に。アメリカで多くの人に知られ、尊敬されている人物です。恥ずかしながら、この本を手に取るまで私は知りませんでした。またしても自らの無知に恥じ入るばかりです。