半藤一利 戦争というもの

2021年5月25日 第1版第1刷発行

 

一(いつ)に平和を守らんがためである(山本五十六

バスに乗り遅れるな(大流行のスローガン)

理想のために国を滅ぼしてはならない(若槻礼次郎

大日本は神国なり(北畠親房

アジアは一つ(岡倉天心

タコの遺骨はいつ還る(流行歌「湖畔の宿」の替え歌)

敗因は驕慢の一語に尽きる(草鹿龍之介)

欲しがりません勝つまでは(国民学校5年生の女子)

太平洋の防波堤となるのである(栗林忠道

武士道というは死ぬ事と見付けたり(山本常朝)

特攻作戦中止、帰投せよ(伊藤整一)

沖縄県民斯く戦へり(太田実)

しかしー捕虜にはなるな(西平英夫)

予の判断は外れたり(河辺虎四郎)

 

令和3年1月に逝去。週刊文春文藝春秋の編集長を歴任。「昭和史」などは以前読んだ記憶がある。今回の著作は文字通り遺作。編集を担当したのは実のお孫さんでPHPの編集をされている北村淳子さんというのは編集後記を読んで知りました。

本当は企画段階では37名言があったそうですが、雑誌に掲載された14のみになったのは少し残念。それでもベッドの上で原稿を書き、それを孫が編集して雑誌に連載して、戦争を経験された方の平和への願いを本にされたことに非常に重要な価値を見出しました。

中でも「驕慢の一言に尽きる」という草鹿龍之介の言葉を昭和35年になってインタビューして引き出した箇所を読んだとき、半藤さんの一生は文字通り歴史の生き証人に語ってもらった言葉を紡ぎ続けてこられたんだなあと改めて畏敬の念を深くしました。