リープフロッグ 逆転勝ちの経済学 野口悠紀雄

2020年12月20日 第1刷発行

 

表紙裏を書き写すと。

後から来た者が、蛙の跳ぶがごとく先行者を追い越してしまう。それがリーブフロッグだ。歴史を繙けば、大航海でヨーロッパが中国を凌駕し、イギリスがスペイン無敵艦隊を駆逐したように、大逆転の連続だった。世界史に日本経済復活の道を探る。

 

冒頭の「はじめに」で本書の概要が書いてある。

固定電話が普及していなかったが故にネットとスマートフォンが急速に普及して中国では最先端分野で目覚ましい発展が。同様にヨーロッパで最も貧しい農業国だったアイルランドが情報技術に対応することで目覚ましい経済発展を遂げ日本の2倍くらいの水準のGDP労働生産性を上げるまでに。しかも工業社会を経験しなかったために美しい自然や街並みが昔のままで。

かつては先進諸国だった中国が鎖国主義に陥り停滞しヨーロッパにリープフロッグされ、ヨーロッパは逆に大航海によりリープフロッグが起き、イギリスの社会構造がガスや蒸気機関などの古い技術に適合したものに固定され、電気という新しい技術に対応できなかったためにアメリカやドイツに追い抜かれた歴史を抑えた上で、最近のGoogleとアリババを例に新しい技術を収益化するビジネスモデルとして紹介している。

そしてようやく最終章で日本のリープフロッグの条件を検討するのだが、逆転勝ち可能な社会構造を維持し、政府に頼らず個人や企業が努力を続けること、を訴える。

 

最終章にどんな内容が書いてあるのか興味を持ったが、日本の経営者がデジタル化を理解しておらず、日本のデジタル化の遅れは目を覆わんばかり、スイスの国際経営開発研究所によると、世界競争力ランキングで92年まで1位を維持していた日本がどんどん落ち込み、2019年では30位、2020年度版では34位に。しかもデジタル技術の順位は2020年では62位(対象は63か国・地域だか最後から2番目!)。という、驚くべき体たらくは紹介されているものの、具体性に欠けているように思う。

 

昨今の日本では、デジタル庁の発足だとか、少しずつ改善しようとしているが、そんな甘っちょろいことをやっていると、どんどん日本は沈んでいく、というか、もう沈むしかないところまで来てしまっているようにも思う。

ただ、浮き沈みは世の常。デジタル化の次を見定めて、そこに頭を使うという発想もあって良い。何でもかんでもデジタルという時代の次がどうなるかが問題だ。そこに標準を合わせて、勉強し、頭を使いたい。