新TOKYO オリンピック・パラリンピック物語 野地秩嘉

2021年7月20日初版発行

 

今回のオリンピック・パラリンピックを裏方で支えた8つの部門から構成される物語。

メインは第1章のスポーツマーケティングに登場する「高橋治之」(大会組織委員会理事)と「川淵三郎」(日本サッカー協会相談役)。高橋は電通出身のスポーツマーケティングの先駆け的存在として知られる。川淵は徹底的にスポーツマーケティングの勉強をし、サッカーでの経験を生かしてBリーグ創設に貢献。地域に根差したスポーツクラブという枠組は日本のプロスポーツ界の骨格を揺るがす世界基準であることを知った。

第2章はAOKI創業者の「青木擴憲」。第3章はポディウムジャケットのアシックス「松下直樹」。第4章はセコム創業者の「飯田亮」。第5章は顔認証管理のNEC「水口喜博」。アドバー・システム(国民識別番号制。指紋・顔・虹彩の認証の組み合わせにより12億人以上が身分証明カード)を手に入れているインド。その基盤を開発したのがNEC。このシステムは世界70か国・地域に1000システムが導入されている(うーん?では、なぜ日本のITインフラがこんなに進まないんだろう?)。第6章は競技会場のカラオケタイム(ハーフタイムをショーとし、カラオケを楽しむ。ラクビーワールドカップスーパーボウルなど)。第7章はストレスを与えない移動サービスシステムを担当したトヨタ自動車創業者「豊田喜一郎」。実際に登場するのは「吉岡輝」。トヨタ生産方式を応用して移動サービスシステムを構築。リアルで渋滞情報を予測し、全ての移動をスムーズにするシステム。最悪の事態にも備える。これからのトヨタが楽しみだ。チャレンジング・チェンジングを今もって継続しているところにトヨタの凄さが現れている。バス・タクシーをはじめ今回トヨタが取り組んだこのシステムは今後の自動車業界にとって切り札となりそうだ。第8章はNTT「川添雄彦」。通信線の光ファイアー99.1%という数字は1億人を超える国では日本だけ。KIRARIの映像はまだ見たことがないが、東京大会がデビューとのこと。どこかでお目にかかる日も近いに違いない。第9章は未来ゾーンの実現を目指した日本セーリング連盟会長「河野博文」。子どもに大会は見せるべきだと。そして川淵もサッカー場をはじめ子どもがサッカーをし易くするためこれまで芝生を植え続けてきたとも。

縁の下の力持ちという言葉がぴたりと当てはまる裏方の新東京大会物語でした。