ロミオとジュリエット  ウィリアム・シェイクスピア 原作  小田島雄志 文

 

 

 

2016 年 9 月初版第 1 刷発行


シェイクスピア 30 歳過ぎの作品(1595 年頃)。巻末の解説によると、ヨーロッパ演劇で恋愛をテーマにして書かれた悲劇はこの作品がほとんど初めての作品と言ってよいとか。物語自体は古くから語り伝えられており、1554 年、イタリアの作家バンデルロが小説のような形でまとめ、フランス語、英語に翻訳され、それを元にシェークスピアが劇にした。
物語のストーリーは、キャピュレット家とモンタギュー家が敵対する中、キャピュレットの美しい一人娘のジュリエットを、モンタギューの一人息子のロミオが一目惚れして、二人が恋に落ち、バルコニーで「おお、ロミオ、ロミオ!どうしてあなたはロミオ?」というジュリエットの乙女心を一言で言い表した名セリフとともに有名。修道士ロレンスの下で二人はひそかな結婚式を挙げた足で、たまたまジュリエットの従弟ティボルトと、ロミオの親友マーキューシオが喧嘩をしているところに鉢合わせ、ロミオの腕の下からティボルトの剣先がマーキューシオの胸を刺し貫いたため、ロミオとティボルトまでが決闘し、ティボルトが刺される。このためロミオはエスカラス公爵に町から追放処分を受け、ロレンスのアドバイスに従って追放される前日の夜にジュリエットの元に行き、朝が来る前に町を離れることに。他方でジュリエットのために良き縁談を考えていた両親はパリス伯爵からジュリエットと結婚したいと申し込まれ、ジュリエットを結婚を受けるよう説得するも、ジュリエットは拒絶する。相談されたロレンスは挙式の当日に仮死状態になる薬を飲んで一時的に納骨堂に運ばれるが 48 時間後に目が覚めた時にはロミオが迎えに来て別の街に連れ出し、時期を見て二人の結婚を公表して両家を和解させるという策を考える。ところがロレンスの策が認められた手紙は不幸にもロミオの下に届かず、ジュリエットが死んでしまったと勘違いしたパリスとその場に駆け付けたロミオが鉢合わせし、パリスはロミオの剣に刺されて死んでしまう。そして毒薬を持参したロミオはジュリエットが目を覚ます前に口にしてあの世に旅立つ。その直後ロレンスが駆け付け、ジュリエットが目を覚まし、ジュリエットはロミオの剣で自分の胸を突き刺して息絶えてしまう。事の顛末はロレンスが両家に伝え、公爵が最後に「見たか、そなたたちの憎しみに加えられた天罰を。二人の子は、愛しあったために死んだのだぞ」と語って幕が閉じる。哀しい恋の物語。