アンネ・フランク 岡田好恵

2018年8月20日第1刷発行

 

父・オットーがアンネの死後に日記の清書の方の原稿を整え、ドイツ語に訳したところ、出版を勧められて悩んだ挙句、「私の最大の望みは、将来ジャーナリストになり、やがては著名な作家になることです」(1944年5月11日)というアンネに意に適うと決意して出版社に掛け合うも、どこからも拒絶される。その中で歴史学者ヤン・ロメインが絶賛し、今度は出版社が殺到。『ヘト・アフテルハイス(後ろの家)』というタイトルで出版され、オランダ国内でベストセラーに。その後世界各国で翻訳され「聖書の次に読者数が多い本」といわれるまでになった。またアンネの隠れ家を守るため、当時の隠れ家は「アンネ・フランクの家」および「アンネ・フランク記念館」として公開される。オットーは91歳で亡くなる。ちなみにオードリー・へプバーンはアンネ・フランクと同じ年。13歳の誕生日(6月12日)にサイン帳をもらい日記を書き始め、15歳になった直後の8月4日、隠れ家が見つかって家族全員逮捕される。その直前の「わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!」(1944年4月5日)の言葉は読む人をして感動させる。お茶目でわがままで率直で人懐こいアンネの日記(親愛なるキティーへ、という書き出しで始まる)。日記に登場する家族や隠れ家の人たち、支援者たちが一人残らず個性的に描かれている。日記からアンネの生涯を繙こうとしたのが本書ですが、やはり日記そのものを読む必要があると改めて感じました。