賢者の贈り物 O・ヘンリー/作 飯島淳秀/訳

2009 年 10 月 30 日 第 1 刷発行

 

「賢者の贈り物」は有名。以前読んだのと同一のお話。

 

警官と聖歌(以前、警官と讃美歌、というタイトルで読んだものと同一)

 

献立表の春
レストランの献立表のタイプライターを仕事にする若き乙女セアラと、結婚の約束をし
た農夫ウォルターが、最初に出会ってから 2 週間後に再会を果たすきっかけとなった、乙女の作成した「献立表」。献立表なのに、乙女がウォルターのことばかり考えていたため、タンポポと綴るべきところ、「たいせつなウォルター、ゆでたまごつき(DEAREST WALTER、WITH HARD-BOILED)」と書いてしまったのを偶然発見したウォルターが、この献立表の記載に気づいて、乙女の居場所を突き止めることができた、というハッピーエンドのお話。ウォルターは「大文字の W が、ぴょこんと行の上にとびだす、きみのタイプライターのくせは、世界じゅう、どこにいたってちゃんとわかるからね」というと、タンポポと書いたつもりの乙女が W のつづりなんてないわよと反論する。すると、ウォルターが献立表を示して、ほら、っていう場面で終わる、とても、気持ちのいいお話です。

 

20 年後、最後の一葉も以前読んだのと同一。

 

運命のショック
突然降ってわいた相続財産を手に入れることができるかもしれない立場に立ったアイド
は、いつ何時不幸に巡り合って財産を失うかもと思い、心配ばかりしていたが、弁護士事務所で説明を受けた当日、結局、財産をもらえなくなってしまって悪態をつき、事務所を出ていくと、アイドが心配で一緒に同行していたバランスに財産家が戻ってきてほしいと伝える。すると、今度はバランスが気を失ってその場で倒れる、という、まさしく。塞翁が馬、というお話でした。

 

とりもどされた改心(以前、よみがえった良心、というタイトルで読んだものと同一)

 

赤い酋長の身代金
腕白小僧過ぎて、誘拐した子どもの身代金を要求した犯人に、親が要求額の 6 分の1を
払ったら戻してもらって構わないと逆に要求仕返えす。腕白小僧に手を焼いた犯人たちはその要求を呑むという滑稽なお話。

 

魔女のパン

古いパンを毎日のように買っていく画家のために、ある日、バターを忍び込ませたパン屋のマーサは画家のことを想って好意でバターを入れてあげたのだが、実は食べるために駆っていたのではなく、設計士が消しゴム代わりにパンを買っていたため、バターのパンを知らずに買って行ったら設計図が台無しとなって、マーサは自分が良かれと思ってやったことが逆にとんだお節介、迷惑をかけてしまったことに深く反省する(ちょっとした恋心を抱いていたマーサの心が痛い)というお話。

 

ハーグレープズの二役

同じ下宿に住んでいたトールバット少佐の部屋に足繫く出入りしていたハーグレープズは、実は役者。モクレンの花という劇の中で、トールバット少佐さながらの姿・行動で陸軍大佐を演じて大ヒットした時、トールバット少佐がたまたま劇場にいて馬鹿にされたと思って二人の関係は断絶。その後、かつてトールバット少佐に面倒を見てもらったモーズ爺さんがトールバット少佐の前に現れて、金に困っていたトールバット少佐に恩を返そうと、300 ドルを渡すことに成功。このモーズ爺さんこそ、ハーグレープズが演じたもう 1 人だったということが、ハーグレープズがトールバット少佐の娘に宛てた手紙で種明かしされて判明する。

 

古典的名作はいつ読んでもいいですね。