2021年5月20日第1刷発行
『万葉集』楽しさに浮かれ哀しみに沈む、今と昔を超える日本文藝の形
万葉集の歌を読み味わうことは、寛容から広がっていく情感に身を委ね、上下左右の立場や身分のみならず、人と生き物、山河と風水の境目も、今と昔、今日と明日の敷居も超えて、楽しさに浮かれ、哀しみに沈み、とめどなく纏綿していく経験にほかならない。(そう言われればそうかも、という感じですかね?)
種の発展を阻害するもの、敵を倒し、殲滅することを躊躇することは犯罪であり、あらゆる留保を取り除き、全ての手段を投入して敵を倒し、絶滅させなければならない。
(この論の通りで、これだけなら人類は同じ愚を犯しかねないのではないだろうか?)
『論語』不遇のなか「鄙事」(ヒジ)を重ねた東洋の思想家が到達した人生
「七十にして心の欲する所に従って、矩(ク)を踰(コ)えず」
人が緊張しつつ温和に生きるためには長命を前提とした道徳が必要だとする発想があるように思われる。(うん、そんな感じがします。論語は何度も読んだのですが、これはまだ見落としていたように思います)
『ナポレオン言行録』「兵隊よ、祖国の幸福と繁栄が達成された暁、私は諸君を連れ戻る」 「天才とはおのが世紀を照らすために燃えるべく運命づけられた流星である」
『移動祝祭日』アーネスト・ヘミングウェイ
1954年、ノーベル文学賞を受賞し、作家としての栄達を極めた一方で、力量が低下し、詩想が枯渇し「しなくちゃならぬことは、ただ、一つの本当の文章を書くことだ」と綴り、なんとか耐えようとしつつ、散弾銃の銃口を口にくわえて引き金を引いていった・・・
『赤と黒』スタンダール 作家の生前は全く評価されなかった近代心理小説の傑作
モームは『世界の十大小説』で『赤と黒』を取り上げたが、理由の一つは主人公ジュリアン・ソレルにある。ソレルは、偽善により立身し、野心を成就しかけたその瞬間に、裏切り者の愛するレナール夫人を銃殺する。だが、スタンダール本人はソレルと正反対で醜男。
『神曲』ダンテ・アリギエーリ
フィレンツェの建物に貼られた銘鈑には、神曲の一節が書かれたプレートが張られている。(へ―。)ジョットのスクロヴェーニ礼拝堂の壁画と神曲の結縁という出会いを目にすることが出来るのは、それこそ旅の醍醐味。(イタリアに行ったら絶対観てみたい)
『本居宣長』小林秀雄 思想やイデオロギーでなく言葉のダイモンに耳を傾けよ
「物のあはれ」、「ベルグソン」、「近代絵画」、それらを通して批評家として、一つの境地を築き上げた小林を、言葉の底にある「ダイモン」から解き明かそうとしている。
ちなみに『見えるものと見えないもの』(メルロ=ポンティ)は是非読んでみたい。
『文明論之概略』福澤諭吉 「一心にして二生を経る」、福澤諭吉を今読むということ
5つ上に吉田松陰、同年に橋本左内、一つ下に坂本龍馬、5つ下に高杉晋作(へ―)
『存在と時間』マルティン・ハイデガー 「神なき時代」「故郷の喪失」に耐えた哲学者の探究への道
ナチス党員の支持により、フライブルグ大学総長に就任し、その後ナチス党に入党。が、ナチスに幻滅し、わずか9カ月で総長を辞任。(この10冊の中ではもっとも難解)