地経学とは何か 船橋洋一

2020年2月20日第1刷発行

 

はじめに 四つの「メガ地経学」

第四次産業革命を牽引する技術とイノベーション、ⅱグローバル・サプライ・チェーンを握るコネクティビティ構築のための戦略的インフラ投資、ⅲ国際秩序を構築するためのルール・規範・標準の設定、ⅳ気候変動による新たなパワー変動と脱炭素化の経済社会構築による国際競争力の変化

 

第1章 地経学パワーゲーム

    北極の氷は2050年までにはほぼ溶けている。北極海は世界の主要航路となる。北極沿海国のロシア、カナダ、米国、ノルウェーデンマーク、フィンラドと中国が主導権争いを繰り広げる。

    中国のアキレス腱は「水」

第2章 海と陸の地経学

第3章 北東アジアグレーゾーン

第4章 通貨覇権とマネー覇権

第5章 資本主義からデータ主義へ

    AIの裏の半導体半導体の裏のプレシジョン機器、その裏の機微マテリアル、さらにはその裏のケミカルとさかのぼり、相手のチョークポイント、つまり急所を抉る地経学の攻防が始まっている。

    ドイツの政治学者セバスチャン・ハイルマン「デジタルレーニン主義

    マキャベリ「人は制約によってのみ正直になる」と洞察。道徳は権力の関数に過ぎない。人を正直にする道具を手に入れた権力はそれを二度と手放さない。

第6章 新たな戦場

    戦争ではなく、平和でもない。サイバー国際政治理論家ルーカス・ケロー「非平和」(unpeace)と名づける。

    海底ケーブルは、データのシーレーン

    海底ケーブルのグローバル・シェアは現在、米国のTEサブコム37%、フランスのアルテカル・ルーセント36%、日本のNEC19%と日米欧で90%以上を占めている。

    世界で使用されている海底ケーブルは約380本。それらが対立を連結する音声・データトラフィックの約95%を伝送している。

    「世界制覇の第一歩は海底ケーブルの制覇にあり」(かつての英国の帝国経営理念)

 前提知識がある分野は、サッと読めるが、知識がないと、著者の主張を理解するのが難しいかもしれない。したがって勉強、勉強、また勉強が必要だということだ。