今昔物語集  令丈ヒロ子

2014 年 1 月 31 日第 1 刷発行

12 世紀前半に成立したと思われる古い説話集。

1 おかしな人々のお話(うわさ話)
(1)浮気男の失敗(巻二十八第一話 近衛の舎人共稲荷詣して、重方女に値へる語)
ナンパした相手が妻だったため、平手打ちを食らう
(2)猫を怖がる男(巻二十八第三十一話 大蔵大夫藤原清廉、猫を怖ぢたる語)
怖い、怖いが笑いに転じて、落語の「まんじゅうこわい」ができたのでは?と。
(3)怪力のお姫様(巻第二十三第二十四話 相撲人大井光遠が妹の強力の語)
人質に取られた姫が固い矢がら 30 本を指で次々に折り、誘拐犯が逆に逃げ出す。

2 すごい人々のお話(うわさ話)
(1)芋粥をふるまったかっこいい将軍(巻二十六巻十七話 利仁の将軍若き時、京よ
敦賀に五位を将て行きたる語) 芥川龍之介芋粥」は五位目線で書いたもの
(2)光り輝く陰陽師安倍晴明(巻二十四第十六話 安倍晴明、忠行に随ひて道を習
へる語) 安倍清晴の師匠賀茂忠行も優れた陰陽道の大家。清明の母・葛葉神社。
(3)琵琶の名人と鬼(巻二十四巻二十三話 源博雅朝臣、会坂の盲の許に行きたる語、
巻二十四巻二十四話 玄象といふ琵琶、鬼の為に取られたる語)

3 ふしぎな人々のお話(うわさ話)
(1)瓜とふしぎな老人(巻二十八第四十話 外術を以て瓜を盗み食はれたる語)
(2)水に溶けた人(巻二十七第五語 冷泉院の水の精、人の形と成りて捕へられるた
る語)
(3)冥界に通う男(巻二十第四十五話 小野篁、情によりて西三条大臣を助けたる語)

4 こんなことが本当に?のお話(うわさ話)
(1)どろぼうの恩返し(巻第二十六第十八話 観硯聖人、在俗の時盗人に値ひたる語)
(2)鷲にさらわれた子ども(巻二十六第一話 但馬国にして鷲、若子を爴み取れる語)
(3)竜宮に迎えられた男(巻二十六第十五話 観音に仕りし人、竜宮に行きて富を得た
る語) 小蛇を助けたら竜王から金色に輝くもちをもらったお話

5 おそろしいお話(うわさ話)
(1)羅城門の老婆(巻第二十九第十八話 羅城門の上層に登りて死人を見たる盗人の語)
 芥川龍之介羅生門』の元ネタ 小説の老婆はふてぶてしく、亡くなった女は蛇を
干し魚を騙して売っていた、たくましい女として描かれている
(2)安義橋の鬼(巻第二十七第十三話 近江国の安義の橋の鬼、人を噉らへる語)
(3)とり殺された薄情な夫(巻第二十七第二十話 近江国の生霊、京に来て人を殺せる
語)

6 ありがたいお話(うわさ話)

(1)悪人の改心(巻第十九第十四話 讃岐国の多度郡の五位、法を聞きて則ち出家せる
語)
(2)わらしべ長者(巻第十六第二十八話 長谷に参りし男、観音の助けに依りて富を得
たる語) 奈良の長谷寺にお参りした時に初めて手にしたものを捨ててはいけないとのお告げを守り、最初に手にした藁一本から次々と別の物を手に入れて長者になったというお話(ということだとは知りませんでした)。
 

 昔の古典というものは、本当に味がある作品が沢山あります。読んでないものがまだまだ一杯あるので時間のある限りどんどん読んでみたいと思います。