阿部一族 森鴎外

新潮文庫 昭和 43 年 4 月 20 日発行 昭和 43 年 9 月 30 日 2 刷
雨の日文庫6 昭和 46 年 6 月 30 日発行


 熊本の細川藩の藩主細川忠利の死後、家臣たちの殉死が次々に描かれている。

 どうしてこんなに殉死の場面を描き続けるのか疑問に思って調べたら、執筆当時、乃木将軍が明治天皇崩御後に殉死した時代背景があったようだ。それにしても次々と殉死を描くのに何の意味があったのだろうか?

 前半は 18 人の家臣が次々と殉死し、後半は阿部弥一右衛門が許可を得ることなく自害したため、阿部一族が悲劇に見舞われていく。家屋相続人権兵衛は縛り首となり一族は屋敷に立てこもるが全滅させられる。殉死など想像することが出来ない現代においてこの小説はどのように読めばよいのだろうか。当時のことをあれこれと想像する以外にはないのだろうか?