2004年3月25日第1刷 2022年1月17日第13刷
表紙裏に「てきやの話術につられ、つい買ってしまった「まほうのカード」のカラクリ。毎年8月29日から家族総出で始まる、夏休みの宿題との格闘。散々だった七五三。親友たまちゃんが自宅の庭で見かけた幻の生物・ツチノコの捕獲騒動。『まる子』だったあのころをふりかえる、懐かしさいっぱいの爆笑エッセイシリーズ第一弾、待望の文庫化。巻末には最近のももこさがよく分かるQ&Aを収録」とある。
てきや
お店のお金を盗んでまでして欲しかった、まほうのカードも、タネを明かされれば魔法でもなんでもない、唯のインチキカードだった。それでもまた「踊るマッチ箱」に吸い寄せられ、ジュウシマツを買うためにコツコツ貯めたお金をつぎ込んで買った「踊るマッチ箱」は、母親が言うとおり糸を操っていただけだった。それでもこうやって騙されて子供は大人になっていくんだぞ、っていう仕上げ方をしているのが著者ならではの視点。
夏休みの宿題
夏休みの終わり頃になって父親に作ってもらった工作の作品を提出したら、こういうのがもう一つあると便利だからもう一つ作ってくれと先生に頼まれて似ても似つかぬ作品になってしまった、という、宿題は誤魔化したらダメよというのをやんわりと教えてくれている。
遠足ぎらい
遠足先にトイレがないために遠足を楽しめなかったというお話。
七五三の思い出
美容院で小さなお化粧婆さんになった著者が両親との帰り道で車が電柱激突。自分の七五三は散々な思い出だが、他人の子供が着物を着ている姿は微笑ましいともいう。そんなもんなのかな?
大洪水の思い出
川の水が溢れて家が浸水しただけでなく、翌日学校に行ったら1階も水浸しになり、教室にうんこが落ちているのが発見されて騒然とする。水害にあった生徒は新しい絵の具をもらったので、いいなーと声をあげた男子生徒を先生はぶっ叩いた。つい、いいなーと思っただけで可哀想だと同情する作者。
マラソン大会
マラソンは嫌いだが走るのが早かった作者。10位まで賞状をもらえるそうで小学2年の時は9位で賞状をもらった。3年生の時は最後の競り合いで勝って10位だったのに紙不足で賞状はもらえず。でも腹も立たなかった。
ツチノコ騒動
親友が見たという庭でツチノコを一緒に探したが結局見つからず仕舞い。ある時ふとした瞬間に、あれ?まさかと思ったが、確かなことは分からない。探してもみつからないが、思いがけず見かける、え?と思っているうちに見失うから、いつまでもツチノコは幻なのだ、という作者。
賞状をもらう話
小学3年生の時に絵が入選して学校の体育館で表彰されることになる。が、尿意を我慢していたらステージで名前を呼ばれたときにピークがやってきた。尿意を我慢し続けた挙句、トイレに最後何とか間に合うまで、手に汗を握る展開を描写する。よくもまあこんなことをリアルに覚えているものだと感心した。
家庭教師のお兄さん
姉の勉強を見るためにやって来た家庭教師のお兄さんにまとわりついて、それでも優しくしてくれたお兄さんが家庭教師を辞めていく。いつものように「またね」とあいさつしてお兄さんも「またな」と言って手を握ってくれたが、それから25年も過ぎてしまった。幼き頃の一つの思い出か。
自転車の練習
乗れるようになるまで地面から足を離すとすぐに転ぶ。が、5日目の特訓で、ある時、ふとした瞬間に乗れるようになる。まあ自転車ってそんなもんですよね。
きょうだいゲンカの話
相当激しく姉と頻繁にきょうだいゲンカをしていた様子。物品がらみのけんかになると取っ組み合いのけんかになり、母からいつもこっぴどく二人とも怒られる。あんたたちの顔も見たくないよと母がしばしば額を押えながら言っていたのは今考えると尤もだという筆者。
目覚まし時計を買った話
朝起きれない著者は自分のお小遣いにお父さんからちょっと援助を受けて目覚まし時計を買う。その殊勝な心掛けをほめてもらいたいのだが、誰もほめてくれない。大人になったら今は自分で起きれるようになっている。人に頼っているうちは朝寝坊は治らない、というお話。
家庭訪問の思い出
先生が家に来るので汚い部屋を片付けようとするが片付かない。母が代りに片づけて、捨てられないものは引き出しにしまい込む。何とか見かけは綺麗な机になったが、先生は引き出しを開けてしまい、万事休す。先生はプっと吹き出し、母と著者は赤面。
道に迷ったときのこと
友達3人と一人の母親の4人で先生の家に遊びに行く。が母親が乗るバスを間違えて大変な大回りをしてようやくたどり着く。母親を「奴」呼ばわりする著者。それもさもありなん。
物をなくす
母の値打ちもののオパールをある日遊んでいたら無くしてしまう。どこを探しても出て来ない。正直に母親に告げると、物凄く怒られる。でも母親が探すとあっさり出て来た。神様に泣きながら祈り続けたので見つかりやすい場所にそっと置いてくれたと思いたい作者。探したのに見つからない、注意力が足りない者という烙印を押されたままだとやってられないという。
著者は、アニメのちびまる子ちゃん、そのもの。もともと自伝的なアニメだろうと思っていたけれど、間違いない。2018年8月に逝去されたのは本当に惜しい。