ギリシア神話 アポロドーロスほか 高津春繁・久美子訳(その2)

2010年10月14日第1刷発行

 

英雄物語

 アルゴー号のお話、

  イルオコスの王をつぐはずだったイアソンの父は弟にその地位を奪われる。イアソンが若者に育ち弟の前に現れると、弟から金のひつじの皮を持ってくるよう命じられ、コルキスにアルゴー号で渡る。コルキス王は魔法の牛に犂をつけて畑を耕せば金のひつじの皮を進呈すると約束するが、王女メデイアはイアソンを魔法の牛から守るため結婚を条件にイアソンの体に薬草を塗り、無事に犂を取り付けることに成功し、金のひつじの皮を手に入れて王女とともに出国する。コルキス王は追手を出すがアルゴー号は逃げ切る。金のひつじの皮を約束通りに渡すも王の弟は裏切る。結局イアソンとメデイアはイルオコスの地を追われ、二人は離婚しイアソンは一人で放浪し続けて死んでしまう。

 

 テセウス物語、

  アテナイのアイゲウス王の息子テセウス。小さい頃からヘラクレスに学問や武芸を仕込まれ、16歳の時に母から父の存在を告げられ、父の下に旅立つ話。プロクルステスを退治したのはセテウス。プロクルステスの寝台として有名な話はここに出典があったと知る。

  アイゲウスはメデイアを妃にしていたが、テセウスが王の下に来ることが分かると、敵が王を殺しに来ると嘘を告げて、テセウスを殺害しようとし、到着したテセウスに早速毒入りの酒を飲ませようとする。が、王がテセウスの剣を見て、これこそ王が故郷に残していた剣だと分かり、寸前で毒入りのコップを払い、王子と再会を果たす。メデイアはアテナイを逃げ出す。ミノタウロスに生贄を捧げる時期になると、テセウスは自ら志願してミノタウロスを退治してくると宣言。クレタ島に着くとミノス大王は指輪を海に放り投げて取ってこいと命じる。テセウスの子供の時からの守り神ポセイドンに祈りを捧げると、いるかが案内して指輪を見つけてくれ、約束どおり指輪を持って大王の前に現れる。その時大王の愛娘アリアドネ姫がテセウスの立派な姿に魅せられ、ミノタウロスを殺した後に迷宮で出口に戻れなくなるのを防ぐ方法を授ける。愛の女神アプロディテから受け取った宝石が散りばめられた冠をテセウスアリアドネを手渡し無事戻ったらアテナイに連れて帰ることを約束。無事に帰国できたら白い帆を掲げる約束をしたのだがテセウスはそれを忘れていたため、アイゲウス王は息子が死んだと勘違いして海に身を投げてしまう(アイゲウス王の名を取ってアイガイア海=エーゲ海と呼ばれる)。テセウスは敵のペイリトオスと仲良くなり、二人して、ハデスの妃ペルセポネをペイリトオスの妻にするために死者の国に出向くが、忘却の椅子に座わり続ける。ヘラクレスに助け出されて祖国に戻ったが、人々の信頼を失ったために流浪の旅の末、スキロス島の王に断崖から突き落とされてしまう。

 

 ゴルゴン退治のペルセウス

  アルゴスのアクリシオス王のダナエ王女にペルセウスが誕生。ダナエ王女とペルセウスはセリポス島に流され、島の漁師から道徳や武芸などを習う。島の王様の前で土産の品を持参しなかったペルセウスはゴルゴンの首を持ってくることを約束してしまう。ゴルゴンとは、3人の女の化け物(真ん中がメドゥサ)。そこにアテナ女神が現れ、ゼウスがティタン神と戦った時の剣を授けられ、今度はヘルメスから空を自由に飛べるサンダルを借りて、ゴルゴンの住処に辿り着く。アテナから盾を借りてメドゥサを見ずに首を斬り落とすことに成功する。残る2人の追手を、ペルセウスはアテナとヘルメスの助けを借りて振り切って逃げきる。途中でエチオピア国王の王女アンドロメダを救出し、遂にセリポス島に帰還。王にメドゥサの首を掲げると、そこにいた全員が石になってしまった。最後にメドゥサの首はアテナに引き渡し、アルゴスに向かう。途中で隣の国に寄って競技に参加して投げた円盤が不幸にもアクリシオス王に当たって、ゼウスの予言どおり王はペルセウスに殺されてしまう。ベルセウス、アンドロメダエチオピア王ケフェウスと妃のカシオペヤのそばに、左手にゴルゴンの首を、右手に剣をふりかざしたかっこうで星座になっている(へ―。星座ってギリシア神話から誕生したんだ。。。)

 

 ヘラクレス

  ゼウスの子ヘラクレスギリシア第1の英雄。ゼウスの妃ヘラの乳を飲んで育ったヘラクレスが強く吸うので、ヘラクレスをおしやった時にこぼれた乳から天の川になる。

  ミュケナイ王に命じられた仕事を次々に成功させ、ギリシアの怪物を退治していく。獅子退治、ルレネの9つの頭のへび退治、牛小屋そうじ、人食い馬の生け捕り、赤い牛など。人間に火の使い方を教えたプロメテウスに腹を立てたゼウスは高い山にプロメテウスを縛り付けていたが、ヘラクレスはプロメテウスを解放し、プロメテウスの兄弟のアトラスを紹介され、天空をアトラスの代わりに担いで、輝く金のリンゴ3つをアトラスにとって来てもらい、天空をアトラスに渡して金のリンゴを持参してミュケナイに戻った。死者の国の番犬を連れてきたり、12の大手柄を立てたヘラクレスの名を知らぬ者はいないまでになる。ヘラクレスは最後はゼウスによって星に迎えられ、獅子はししざ、ルレネのへびはうみへび座、かに、わし、りゅうもみな星座になる。

 

 テーバイ物語

  テーバイという町のライオス王の王子は、コリントスの町で王様の王子オイディプス(ふくれ足。金のピンを抜いた跡の傷が直らず足が腫れた)と名付けられ、偶然道で出くわした年寄りたちと喧嘩になり、殴り合いの末、年寄りを殺してしまうが、それがライオス王だった。そうとも知らずオイディプスはライオス王の妃と結婚し、後にそのことを知り錯乱して役に立たない目を自ら潰してしまう。老いた盲目のオイディプステセウスの国にやってきて、この地で死ぬ。