2014年2月16日 初版第1刷発行
レジェンドストーリー アンナ・パブロワ(1881~1931)
第1章 日本にまい降りたプリマ
来日したアンナのバレレ公演を歌舞伎役者の六代目尾上菊五郎は連日観賞し、ある時、ラストシーンで白鳥が死に至り幕が下りる時にアンナが息を止めていることに気づく。アンナを茶の席に招くことが出来ると本人から息を止めていることを知る。そこで「もしあのまま幕が下りなかったらあなたはどうしますか?」と尋ねると、アンナは「瀕死の白鳥ですから、幕が下りなかったらあのまま死ぬつもりで踊っています。それは、私らしい人生の終わり方でしょう?」と答える。命をかけて舞台の上でバレエの究極の美しさを貫こうとする姿に菊五郎は感動する。
第2章 夢に目覚めた『眠れる森の美女』
第3章 苦難を乗りこえたバレエ学校時代
プティパ先生からタリオーニ(スウェーデンのバレリーナ)を通して「タリオーニは妖精になりきった。バレエは体だけじゃなく、心で踊るものだよ」「心をもっと豊かにしなさい」と教えられ、終生その教えに忠実に生きる。
第4章 あこがれのプリマ・バレリーナに
アンナは初めて主役を務める『ジゼル』で大評判となり絶賛された。しかしアンナは「たとえ皇帝陛下やプティパ先生や世間の人々が喜んでくださっても、これがゴールだと思いたくないの。小さいころは成功すれば幸せになれると思ってた。でも、そうじゃない。自分で自分の踊りに満足してしまったら、それでおしまいだもの。私はこれからも、今まで以上に努力することをやめないわ!」と。
第5章 『ひん死の白鳥』の誕生
第6章 世界にふみ出すアンナの挑戦
第7章 戦下の闘牛場にひびく大歓声
第8章 白鳥の永遠の旅立ち
第一次世界大戦の最中、アンナはバレエを伝えようと44か国を回る。移動距離は50万キロメートル。地球10周分に等しい。旅客飛行機が十分でない時代に大変な苦労をして世界中の小さい村々までバレエ団を率いて、ある時は一文無しになって巡業した。
亡くなる前年には「私は地上に種をまく人間です。あちらこちらに、まくのです。もしも、実りのときまで生きて、収穫をこの目で見ることができたら、どんなにうれしいことでしょう。でも、それはかなえられない夢です。私は今、この時に生きていて、そのことを感謝すべきなのでしょう」という。
アンナが命をかけてバレエを伝えた国々では、多くの子どもたちがアンナにあこがれ、バレリーナを志し、今ではバレエ教室が各国にでき、国内外で舞姫たちが活躍している。
本物の人、一流の人である。