誰も知らない「名画の見方」 高階秀嗣

2010年10月6日初版第1刷発行 2010年12月27日第5刷発行

 

帯封「《モナ・リザ》の美貌の秘訣は『水』にある? フェルメールはグラビア写真家の元祖だった? ルノワールの絵には『嘘』が塗ってある? 『名画』の謎が、いま解き明かされる。-」「24人の巨匠とその名画に秘められた謎が解ける。美麗な図版満載。フェルメールレオナルド・ダ・ヴィンチゴッホ、ベラスケス、ゴヤ、ミレー、ボス、ピカソ、ゴーガン、ボッティチェリセザンヌクリムトルーベンスドガルノワール、アングル、ムンク、ミレイ、カラヴァッジョ、マネ、ブリューゲル、モリゾ、モロー、ファン・エイク

 

表紙裏「『名画』には、絵画鑑賞をより楽しく充実させるための、『見方』があります。本書では8つのテーマに分類された『名画の見方』に基づき、日本を代表する美術史家である著者が、巨匠たちの手になる名画の数々を例に、具体的にわかりやすく解説。『名画』は、なぜ『名画』と呼ばれるのか? 『巨匠』は、いかにして『巨匠』になったのか? 本書を読めば、名画と巨匠にまつわるそれらの疑問が、目から鱗が落ちるように、解決します。美麗な図版満載。」

 

はじめに

第1章 「もっともらしさ」の秘訣

     白い点ひとつで生命感を表現したフェルメール(オランダ)

          「真珠の耳飾りの少女

     見る者を引き込むファン・エイク(フランドル)の「仕掛け」

       「アルノルフィーニ夫妻の肖像」 壁に掛けられた鏡の中に「仕掛け」

       「ロランの聖母子」 2人の人物の背景に「仕掛け」

     影だけで奥行きを表したベラスケス(スペイン)

       「黒衣のフェリペ4世、全身像」

第2章 時代の流れと向き合う

     激動の時代を生き抜いた宮廷画家ゴヤ(スペイン)

       「1808年5月3日、マドリード プリンシペ・ピオの丘での銃殺」

     時代に抗った「革新的な農民画家」ミレー

     時代を代弁する告発者ボス(ネーデルラント

第3章 「代表作」の舞台裏

     いくつもの「代表作」を描いたピカソ

     タヒチでなければ描けなかったゴーガンの「代表作」

     二種類の「代表作」をもつボッティチェリ(イタリア)

第4章 見えないものを描く

     科学者の目で美を見出したレオナルド・ダ・ヴィンチ

       室内から外部へと続いていく空間のはざま

       自然と人工物のはざま

       昼から夜へと変化していく時間のはざま

       夏から冬への変わり目、はざま

       無表情と微笑みの微妙な境界

       胸元の模様は背後に見える永遠に循環する水の流れを描いた風景に同期

       永遠につづく変化のはざまにあることが美しさの根本と思われる

     人を物のように描いたセザンヌの革新的な絵画

     音楽を表現したクリムト(ウィーン)の装飾的な絵画

第5章 名演出家としての画家

     依頼主を喜ばせたルーベンス(フランドル)の脚色

     演出した「一瞬」を描いたドガ 「エトワール」「室内」「ペレリ家の肖像」

     絵画の職人ルノワールの計算

第6章 枠を越えた美の探求者

     女性の「優美な曲線」に魅せられたアングル(フランス)

     見えない不安を象徴したムンクノルウェー)の「魔性の女性像」

     イギリス絵画の伝統を受け継いだミレイ(イギリス)

第7章 受け継がれるイメージ

     カラヴァッジョ(イタリア)のドラマティックな絵画 バロック絵画の先駆者

     働く人々を描いた色彩画家ゴッホ 「夜のカフェ・テラス」

     西洋絵画の歴史を塗りかえたマネ 実在する女性の裸体を描いてスキャンダル

第8章 新しい時代を描き出す

     人間味あふれる農民生活を描いたブリューゲルネーデルラント

     新しい女性像を描いたモリゾ(フランス)

     20世紀絵画の予言者モロー(パリ) 「出現」「抽象的習作」

あとがき

 

こちらも、絵画を見るうえで、大変、ためになる本でした。