父が子に語る世界歴史1 文明の誕生と起伏 ジャワーハルラール・ネルー 大山聡訳

2002年10月22日発行

 

表紙裏に「本書は1930年代前半に、インドの数か所の刑務所内で執筆された.ネルーはイギリスの植民地支配に抗して、インド解放闘争に参加し、それを理由に禁固刑に処せられていた.かれは、このおしつけられた休息、『余暇と隔離』を、世界歴史の執筆にあてる.そして、自分の周期的な投獄による不在のために気がかりだった、幼い一人娘インディラの教育のためにと、手紙のかたちにし、たえずかの女に語りかけた.第1巻は『お誕生日を祝う手紙』にははじまり、合計43通.インド、ギリシア・ローマ、中国、ペルシアにおよぶ文明の勃興と諸国の興亡、そしてキリスト教ヒンドゥー教、仏教の起源と展開を語り、『生存のためのたたかい』とは何かを説く.」とある。

 

獄中の父が、わが子に手紙の形で歴史を綴って学ばせるだけでも凄い話だが、そこに深い哲学的な教えも含まれているのは驚愕の一言。この手紙は相当に長いので、恐らく読むのに相当時間がかかると思う。初代首相のネルーが偉人であることは皆知っていると思うが、これを読まずしてネルーを語る資格はないと改めて自戒した。

 

「なにをするにつけても、けっしてひとにかくれてしないこと、あるいは、かくしたいと思うようなことをしないこと。なにかをかくそうと思うことは、いつもびくびくしていなければならないことだ。おそれるということはよくないことでもあり、おまえにはふさわしくないことだ。勇敢でありさない。そうすれば、ほかのことは、それにつれて自然に道がひらけてくるものだ」