生き方 人間として一番大切なこと 稲盛和夫

2004年8月10日初版発行 2007年5月10日第39刷発行

 

帯封「12歳から93歳まで、幅広い層の読者から感謝・絶賛の便りが殺到! 大きな夢をかなえるために。たしかな人生を歩むために。当代随一の経営者がすべての人に贈る、究極の人生論!」「混迷の時代に打ち込む、『生き方』という一本の杭。そのような閉塞的な状況が社会を覆いつくしているのはなぜなのでしょうか。それは、多くの人が生きる意味や価値を見いだせず、人生の指針を見失っているからではないでしょうか。(中略)そういう時代にもっとも必要なのは、『人間は何のために生きるのか』という根本的な問いではないかと思います。―プロローグより」

表紙裏「私の成功に理由を求めるとすれば、たったそれだけのことなのかもしれません。つまり私には才能は不足していたかもしれないが、人間として正しいことを追求するという、単純な、しかし力強い指針があったということです。」

 

今から15年前に一度手にして読んだ。今また本屋や広告で時々見かける。再度ブーム到来の予感がする。そんなわけで久しぶりに再読してみた。

 

・幸福という果実を得るには、どうすればよいか。そのことを私は一つの方程式で表現しています。それは、次のようなものです。 人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力

・頭のてっぺんからつま先まで全身をその思いでいっぱいにして、切れば血の代わりに「思い」が流れる。それほどまでひたむきに、強く一筋に思うこと。そのことが、物事を成就させる原動力となるのです。

・楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行することが物事を成就させ、思いを現実に変えるのに必要です。

・平凡な人材を非凡に変えたものは何か。一つのことを飽きずに黙々と努める力、いわば今日一日を懸命に生きる力です。また、その一日を積み重ねていく継続の力です。すなわち継続が平凡を非凡に変えたのです。安易に近道を選ばず、一歩一歩、一日一日を懸命、真剣、地道に積み重ねていく。夢を現実に変え、思いを成就させるのは、そういう非凡なる凡人なのです。

・少しずつでいいから、かならず改良や改善をつけ加えていくこと。そうした「創意工夫する心」が成功へ近づくスピードを加速させるのです。

・私はよく「神が手を差し伸べたくなるぐらいにまでかんばれ」と社員に檄を飛ばしたものです。

・物事を単純化して、本質を直截にとらえる「次元の高い目」をもつべきです。それは、私心や利己、利害や執着を離れた、公明正大で利他的な心によってもたらされるものなのです。

・明代の思想家、呂新吾は『呻吟語』で「深沈厚重なるは、これ第一等の資質。磊落豪雄なるは、これ第二等の資質。聡明才弁なるは、これ第三等の資質」と説いています。人格、勇気、能力ともいいかえられるでしょう。

・「六つの精進」①だれにも負けない努力をする②謙虚にして驕らず③反省ある日々を送る④生きていることに感謝する⑤善行、利他行を積む⑥感性的な悩みをしない。

・素直な心とは、自らの至らなさを認め、そこから惜しまず努力する謙虚な姿勢のことです。

・65歳を迎えたときに京都円福寺で得度し「大和」という僧名を頂戴しました。

・江戸の思想家・石田梅岩は「商人の売利は士の禄に同じ」と述べ、ウェーバーもキリストが教える隣人愛を貫くために厳しい倫理規範を守り労働を尊びながら産業活動で得た利益は社会の発展のために活かすことをモットーにしていた。

・思想家・安岡正篤は中国の古典『陰隲録』(袁了凡に関する話を紹介)を学び、因果応報の法則を働かせて天が決めた運命も己の力で変えられる、運命に定められた以上の善き人生を生きることができる、それが「立命」であると述べています。