堀田力の「おごるな上司!」人事と組織の管理学 堀田力

1994年11月21日第1刷 1995年12月11日第24刷

 

弁護士・さわやか福祉推進センター所長。1934年京都府生まれ。61年検事任官。大阪地検特捜部検事、法務省刑事局付健二、在米大使館一等書記官などを経て、76年東京地検特捜部検事。ロッキード事件では、ロッキード社副社長コーチャン氏らのの嘱託尋問に当たり、起訴後は6年間公判に専従。田中角栄元首相らに論告求刑を行なう。そののち、法務省刑事局総務課長、法務大臣官房人事課長、甲府地検検事正、最高検察庁検事、法務大臣官房長を歴任。91年に退職し、さわやか法律事務所、さわやか福祉推進センター(近く、さわやか福祉財団)を開設し、現在に至る。

 

人事の不満

 人は、自分の短所を肯定するが、他人の短所は肯定しない。ここから人事異動に対する不満が生まれる。しかし、人事異動は一般に言われているほど不公平とは思われない。その証拠に、自分の人事異動を不公平だと言う人は多くても、他人の人事異動を不公平だと言う人は多くない。

 

人の評価

 人を評価する際は、自分の能力を基準にしがちである。だから、自分の長所としている点について、他人の能力が少しでも自分より劣っていると、非常に低く評価し、自分より優れていると、非常に高く評価する傾向がある。

 

花形のポスト

 花形部署への移動を希望する前に、その仕事が合っているかどうか、考えてほしい。合っていなければ、泥沼の部署になるから。

 

抜擢の恩

 人事は、人ごとではなく、人事を尽くしてやなねばならない。しかし、人事を尽くせば、あとは人ごとである。

 

愛ある人事

 人事は愛をもってしなくてはならない。組織に対する愛をもって。

 

出世欲

 なぜ、その人は長になりたいのかーその人がよい上司になるかどうかは、その動機にかかっている。名誉欲は悪くない。権勢欲はよくない。

 

嫌な上司、嫌な部下

 組織にいれば、嫌な人と組むこともあろう。ところで、人を嫌と思うのは、その人が自分と同じ欠点を持っている場合が多い。そう自覚して見れば、その人を好きにまではならなくても、少なくとも、その人が理解できるようにはなる。

 

増員

 人を余らせている組織はおとろえる。だから、増員に熱心になる前に、人が遊んでいないかを熱心に見なければいけない。

 

減点主義

 減点主義は組織を殺す。

 

女性の幹部

 いま、女性の幹部を登用しなければ、やっていけない。

 

女性の能力

 色眼鏡をかけずに女性の能力を評価できる男が、これからの組織を救う。

 

異性の部下

 いま、異性の部下が使えなければ、やっていけない。

 

できる部下

 できるからといって、いつまでも部下を手放さない人は、残酷なエゴイストである。

 

できない部下

 優秀な部下であるからといって、優秀な上司になるとは限らない。優秀な部下でないからといって、優秀な上司にならないとは限らない。

 

評価の視点

 問題は、どれだけ知っているかではない。どれだけ伸びるかである。

 

報告

 報告ぶりだけで部下の評価を判断するのは、危険である。

 

能力発掘

 いくつかの点でダメな人が、思いがけない能力を持っていることがある。

 

決済

 作るのはむずかしいが、ケチをつけるのは簡単である。

 決裁する立場の人は、他人の足りない点をあげつらう前に、そこまで仕上げるのにどれだけの苦労があったかをわかってあげることが大切。

 

厳しい上司、いばる上司

 部下に努力を求める上司は、厳しくはあるが、部下に従順を求める上司より、はるかによい。

 

無能な上司

 あなたが指導を受ける気でいるときに、あなたを怒ったり、いじめたりする上司は、あなたより無能だ。

 

やる気のある上司

 独善的で、やる気のある上司より、まだ、無能で、やる気のない上司のほうがよい。

 

休暇の承認

 とくに理由もないのに休暇の承認を渋る上司は、勤務時間中に部下が遊んでいるのを黙認している上司と同様に悪い。

 

若い部下

 「このごろの若い人は、外国人みたいだ」などと言っている人は、価値観の多様化に対応できていない人である。ちなみに、わが国において、価値観が多様化する傾向が顕著になってから、もう20年以上になる。

 

部下の責任感

 部下に責任感がないと嘆く人がいるが、部下の責任感を育てないのは、その人の責任である。

 

後半は明日アップしようと思います。