キリスト教美術史 東方正教会とカトリックの二大潮流 瀧口美香

2022年9月25日発行

 

帯封「『聖なる図像』の千年史 初期キリスト教美術 カロリング朝美術 オットー朝美術 ビザンティン美術  ロマネスク ゴシック ルネサンス バロック」「ローマ帝国時代、信仰表明や葬礼を目的として成立したキリスト教美術。四世紀末に帝国は東西に分裂し、やがて二つの大きな潮流が生まれる。一方は、1000年にわたって不変の様式美を誇ったビザンティン美術。他方は、ロマネスク、ゴシック、ルネサンスバロックと変革を続けたローマ・カトリックの美術である。本書は、壮大なキリスト教美術の歴史を一望。100点以上のカラー図版と共に、その特徴と魅力を解説する。」

 

はじめに

 本書は3つの柱を立てた。一つ目はキリスト教美術の潮流はひとつではないという視点。二つ目はこの図像はこの物語を説明する、従来の解説書のやり方を踏まえた上で、その先に向かおうという試み。三つ目は、「キリストの洗礼」という同じ出来事を表す図像でありながら、同時に、どれ一つとして同じ「洗礼」場面はないという視点。

 

第1章 キリスト教美術の誕生

    葬礼美術 石棺彫刻 カタコンベ(地下の共同埋葬所)

第2章 帝国の後ろ盾とキリスト教美術

    国教化 モザイク フレスコ(漆喰壁に顔料を見ずで溶いて描く技法) イコン

    聖遺物箱 写本挿絵

第3章 カロリング朝とオットー朝の美術

    福音書記者と象徴 象牙浮彫 聖遺物箱

第4章 ビザンティン美術

    教会と教義に仕える美術 臨場感、逆遠近法、異時同図法、光源

第5章 ロマネスク美術

    修道院の美術 

第6章 ゴシック美術

    ステンドグラス 祭壇画

第7章 ルネサンス美術 芸術家の個や人生を色濃く反映した作品

    ブロンズ浮彫 木彫 石彫

第8章 バロック美術 古典古代を枠組みからあえて逸れていく

    イタリア スペイン フランドルとオランダのバロック美術

 

私の知識のレベルからすると、マイナーな絵画の歴史になるのだが、本書のような見方からキリスト教美術を見る視点があることが知れたのが収穫。