2014年8月31日第1刷発行
第1部・「危機の時代」に備えよ
第1章 「世界大戦」は終わっていない
エリック・ホブズボーム『20世紀の歴史(上・下)』をテキストとして、1789年から1914年までを「長い19世紀」とし、1914年から1991年までを「短い20世紀」と呼ぶ。
第2章 はたして「近代」は存在したのか
エルンスト・トレルチ『ルネサンスと宗教改革』をテキストとして、ルネサンスも宗教改革も近代の出発点ではなく、ウェストファリア条約により国家と教会の分離が決定的なものとなった点が近代の決定的な切れ目であるとする。ちなみに田辺元『哲学入門』で触れられている「ファウスト」の中に登場する「はじめにロゴスあり」のロゴスを「言葉」と訳し、次に「心」と訳し、更に「力」と訳し、最後に「行為」と訳してようやく納得する場面について「言葉」はギリシャ的世界観、「心」はヘブライ的発想、「力」はニュートン的力学の世界観、「行為」は歴史主義で現代にあたると田辺が説明する箇所を引用している(ここなどは感心した)。
ジェルジ・ルカーチ『歴史と階級意識』をテキストとして、資本主義のイデオロギ―を認識できるのはプロレタリアートであるとする。
第3章 「動乱の時代」の必読書
現代の国際情勢は「帝国主義」という概念を用いて考察できる教養が危機の時代には求められるから、ウラジミール・レーニン『帝国主義』は必読書である。
第4章 「反知性主義」を超克せよ
独裁を成功させる5つのルールを説いたブルース・ブエノ・デ・メスキータとアラスター・スミスの共著『独裁者のためのハンドブック』、権力者の権力基盤を固める方法を理解するのに有効なクルツィオ・マラパルテ『クーデターの技術』、権力を維持するために何を
すべきかを説いたレーニン『なにをなすべきか?』を紹介する。
その上で自由と民主の折り合いをつけるには中間団体を再建することが重要だと指摘し、そのことは三権分立を提唱しかつ中間団体の重要性を指摘したモンテスキューに学べという。
第2部「知のツール」の活用法
第5章 私が電子書籍を使うわけ
紙の本と同じ本を電子書籍で読む、つまり端末を携帯図書館にしてしまうことを推奨する。著者は泉鏡花『天守物語』をキンドルに入れて文章表現を学び続け、ドフトエフスキー『カラマーゾフの兄弟』も同様にキンドルに入れて「大審問官」を正確に話せるようにしている。伊藤誠『「資本論」を読む』もキンドルに入れている。
第6章 教養としてのインターネット
海外報道機関の日本語版ウェブサイトとして、ウォール・ストリート・ジャーナル、人民網や朝鮮日報等やロシアの声(ロシア国営放送)を紹介している。
テキストとしてはエマニュエル・トッド『移民の運命-同化か隔離か』を挙げている。
第7章 「知の英語」を身につけるには
ラフカディオ・ハーンの「DIPLOMACY」を勧め、毎日2時間1週間程度で丸暗記する。
次に夏目漱石『それから』『And Then』を読む。その次にイスマイル・カレダ『The Palace Of Dreams』を読み、判定試験を受けるならIELTSを受験する。千野栄一『外国語上達法』でも「お金と時間」「語彙と文法」の重要性が指摘されている。
第8章 現代に求められる知性とは何か
ネット講義、例えばリクルートの受験サプリの活用や、書評・書店員の徹底活用を勧め、教養共同体の重要性を指摘する。古市憲寿『僕たちの前途』、マーク・ボイル『ぼくはお金を使わずに生きることにした』、ムーギー・キム『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』がテキストとして挙げられている。また本を交換する習慣は海外の知的エリート層の書店活用法として存在しており、著者自身実行している。
ものすごく勉強になった。まだまだ自分の読書なんぞ甘ったるいとしか言いようがない。
よし、また頑張るぞ!