世界2018年12月 異形の条例が照射する現実ー東京都人権尊重条例をどう見るか 大石泰彦

「オリンピック開催にふさわしい都市」のための東京都の人権尊重条例。歓迎すべきか、あるいは表現の自由を侵す危険があるのか?しかその前に、唐突な条例化への「違和感」の理由を考えたい。

 会社前でのビラ配付などに萎縮的効果を生じさせるものとして強い批判を受けた「改正迷惑防止条例」(2018年3月)、デモが使用できる区立公園を一つに限定してしまった「新宿区公園使用基準見直し」(2018年8月)。これらの延長線上に今回の条例をおいてみたとき、そこに浮かび上がってくるのは人権を重視する都市の姿ではなく、むしろ、環境浄化や秩序維持への強い指向性、つまり、これからオリンピックをお迎えする街として、見栄えの悪いものは「お掃除」してしまおうという考え方である。