法の任務(THE TASK OF LAW) R.パウンド 末延三次譯

第1章 法はなぜ必要か
「法的秩序の任務は、それらの願望や要求の中で、どれを、そしてまたどの限度内において、認めかつ保障すべきであるかを決定し、摩擦や浪費を最小限度に抑えて右の願望や要求に満足を與えるべきことを命ずることである」
アリストテレスは、ずっと昔にこのことを見てとり、人は政治的動物である、といっているのであるが、その意味は、人間は、天性、おのずから相結合して組織された社会を作る、ということである」
「法は、人間の願望や要求を実行可能な態様において調整するにあたっての人間の経験から生じた所産である」
「現在の法は、理性によって発展せしめられた経験であり、経験によって試された理性である。従って、法は、司法権行使の歩む道を予言することを可能ならしめ、その結果として、統一と安定と保障とを確保するのである。それは個人的正義の過誤に対して保障を与える。それは司法官に、彼の前任者のすべての経験を利用することができるという利益を与える。それは、社会的および個人的な究極の利益が、それよりもっとはっきりしており、かつ切実な利益ではあるが、比較的に重要性の少ない直接の利益というもののために犠牲に供せられることを防止するのである」

第2章 法とは何か

第3章 法によって何ができるか
「法は理性であるが、また、経験でもある。法は理性によって発展せしめられた経験であり、経験によって験された理性である」