#1 忍び寄る影
1人で屋敷に侵入し足音一つさせずに屋根を伝い、部屋に忍び込んで宝物を手にし、追手が取り囲んでも一瞬の暗闇の隙に他人と入れ替わって逃亡を成功させたイルジメ。時は13年前に遡り、王の功臣イ・ウォノが息子ギョムと漢陽(ソウル)を連れて旅行中、泥棒の濡れ衣を着せられた少年チャドルの窮地を救ったギョム。罪を着せようとしたのは王の佞臣シクの長男シワンで、ギョムがシワンがチャドルに罪を被せようとしても反省しない態度に腹を立てて殴り付けた。現場に駆けつけたチャドルの母はウォノを見て浮かない顔に。チャドルとウォノはかつて恋人だったからだ。ウォノはチャドルの顔を見てチャドルに高貴な人になれと言う。チャドルの父セドルは息子が回りから父はコソ泥だといじめられるのを知ってやめると改心した。しかし仕事につけず焦るセドルに高額報酬を約束された仕事が舞い込んだ。セドルはウォノを罠に嵌める仕事と知らずに一旦は引き受けてしまう。しかしウォノの家の敷地に埋めるよう指示された紙に血の署名があるのに気づき、セドルは引き返して金を返し仕事を降りるというと、囚われの身に。セドルの後をつけたチャドルはセドルが囚われているのを知り、父セドルに代わってウォノの家に紙を埋めた。シクは2人を殺そうとすると、チャドルの母タンが現れ、大監シクに向かって、チャドルはシクの息子だと言って息子を救った。実はタンはウォノの子を身籠り、ウォノの家臣だったシクがタンを側室にしたいと言っていたので、体を捧げたことがあった。タンはチャドルにシクの子として両班として今後は生きていくために自分に声を掛けてもいけないと教え諭し、チャドルは“シフ”に名を変え、父セドルは涙にぬれてチャドルと別れた。ギョムは家に忍び込んだ者がいると聞き、ウォノに家族を守るため剣術を習いたいと言い、ウォノから剣を習った。王の意向で動く謎の男は前王の方針を引き継がずに王への謀叛を企てている一味を撃ち滅す計画を立て、その罪をウォノに着せようとし、ウォノに暗殺団を送った。
#2 引き裂かれた家族
セドルはチャドルが埋めた紙を取り返すためにウォノの屋敷に忍び込むが、戸棚の鍵穴からウォノが眼の前で斬殺されるのを見て救いを求めていたギョムの声に気付いて戸棚ごと持ち帰る。中にはギョムがいた。ウォノの屋敷に埋められた血判状が発見され、ウォノは謀叛に失敗して自害したと扱われて謀叛の首謀者に祭り上げられた。ウォノへ復讐するためタンはギョムを役所に突き出そうとするが、チャドルの弟だからとセドルから諭されて諦める。時は10年前に戻る。セドルは頼まれてウォノの屋敷からタンを誘拐するが、頼まれた人物にタンを引き渡すと、殺されそうになったので自分で引き取る。タンは身籠っていた。セドルは、誘拐の途中、ウォノに会い、金を渡されて幸せにしてやってくれと頼まれ、誰にも言えない秘密を抱えた。再び現在に戻り、首謀者の屋敷から証拠の血判状が出て来たため、セドルはチャドルが実の父ウォノを死に追いやったと知る。死体になってもウォノは八つ裂きの刑に付されるのを目撃し、謀叛人の妻とされた母を目の前にしてもギョムは息子と知られないために石を母に投げ付け、深い悲しみで心を痛めたギョムは過去の記憶を全て失った。セドルはギョムの名を“ヨン”と変えてわが子として育てる。13年後、成長したヨンはある時、学堂の同級生にいじめられ山中に放置され気を失ったところを漁師チャンに救われた。うわごとでギョムと名乗りながら、意識を取り戻すと名をヨンと名乗った。セドルは学堂に通わず遊び惚けていた。ある時、ヨンは2人の詐欺師に騙されて金を巻き上げられるが、この2人はかつてギョムと間違えられて殺された男の妹と殺しを実行した犯人だった。
#3 再び現る刺客
ヨンは学堂の仲間に半殺しの目に遭い、猪を捕まえる穴に突き落とされた。やっとのことで這い出たヨンだったが、今度は別の男に氷の張る湖に突き落とされ死にかける。そこにまた別の男が現れて辛うじて助かる。遅くまで帰って来ないヨンを探し回るセドルはヨンの失踪にシワンが関わっていたことを突き止めた。シクの末っ子ウンチェ(ハン・ヒョジュ)は人を思いやることのできる美しい女性に成長していた。チャドルがシフと名を変えて父シクの下で兄シワンから酷いいじめに耐えながら、いつも幼い妹ウンチェはシフを助けてきた。セドルは猪の穴にヨンがいないと知って、シワンに殴る蹴るの暴行を働く。そこに兄シワンを探せと命じられたシフが現れてセドルを叩きのめすが、途中でシフがチャドルだと気付いたセドルは仲間がシフに石を投げようとするのを止める。ヨンを救った男はギウォンと名乗り、ウォノの友人としてウォノの無念の死について話をしたいと理由を伝えて、ヨンにギョムかと尋ねるが、違うと答えて解放される。チャンがヨンをギョムだとしてギウォンの下に連れて行ったが、逆にチャンが嘘つき呼ばわりされることになる。シワンに暴行を振ったとしてセドルが捕まり手首を切られる刑に処されることになると、ヨンはセドルを救うためにシワンに赦しを請う。シワンはヨンに金を作れと言い、格闘賭博を紹介して参加させ、金を手にした上、優勝賞金200両を持ってきたら父セドルを赦してやるという。一方、シフがセドルが育ての親だと兄シワンに教えると、シワンはセドルを救いたければ優勝して賞金200両を持ってこいという。
#4 記憶のかけら
格闘賭博で優勝候補に当たったヨンは相手が試合の最中に下痢を起こして勝利を得たが、そこにシフが現れ、ヨンとシフが対決することに。シフに一方的にやられるヨンだったが、そこにタンが現れ、二人のわが子が互いに殴り合う姿を見て絶叫する。どこまでも殴られても倒れないヨンが父セドルの手首が斬られるというのを聞いて、シフは自ら白旗をあげてヨンを勝たせる。優勝賞金を手にしたヨンだが。ヨンをギョムだと疑う暗殺団に命を狙われ、賞金を落としてしまう。ウンチェにシフの気持ちも考えてあげて欲しいと言われたシクは手首を切る代わりに前歯をシワンに抜かせるだけで済ませた。シクはウンチェに豪華な旅館を建てるよう指示していたところ、ウンチェは物乞いに仕事を与えていた。シクがそれを知って追い払おうとするとそこにウンチェが現れ破顔する。シクは娘ウンチェには弱い。ヨンは殴られて頭に衝撃を受けたためか過去の断片的な記憶が蘇りつつあった。ヨンはギウォンの前に現れ、自分は誰なのか尋ね、ウォノの息子ギョムで、ウォノは謀叛の罪をなすりつけられたことを教えられた。ギウォンも謀叛の咎で捕まるのを見たヨンは父ウォンが殺される場面を思い出した。
#5 葬られた過去
シム・ギウォンの甥クォン・ドゥヒョンは翌日王の前で全容を明かすと述べていたが、前日に密室の中で舌を噛んで死んでいた。荷物を渡すためにシクに会いに行ったシフが、ドゥヒョンの死体に傷あとを見ると、密室の中で誰かがドゥヒョンの胸に鈎をひっかけて手繰り寄せて舌を噛み切らせて自殺に見せかけた可能性を口にし、床に引きずられた跡が残っていることと整合する推理を述べたが、シクは余計な口出しを封じた。同じ頃、ウォノの冤罪を晴らす重要な証拠書類を保管した倉庫が何者かに火をつけられて灰になった。ヨンは証拠書類を盗もうと屋敷に入り込んだが、全て白紙なのを見たところで燃えた柱が倒れ、同時に不審者と見做されて逃げ回っている時に、ちょうどドゥヒョンが殺されている現場を見てしまっていた。またギウォンも謀叛の罪を被せられて殺されていた。ドゥヒョンは死ぬ間際にダイイングメッセージをギョムに残したが、ギョムは半分しか手に入れられなかった。シフが体の傷に気付いたことをシクがサチョンに伝えると、サチョンは何か証拠を残したのではないかと疑い、ドゥヒョンの衣服と死体を調べ始めたが、死体は何者かに奪われ、衣服の一部が破り取られていたことを見つけた。
#6 告発
ダイイングメッセージを持つ男の命を狙っていたサンチョンの手下ムイの行く手に、偶然シフが妹ウンチェを迎えに行く道中で鉢合わせとなり、ムイに傷を負わされた。格闘賭博での傷に加えて更に傷を負ったシフは弓手を左手に変えて猛練習に取り組み科挙を受ける準備をした。ウンチェは旅館建設のために毎晩遅く自宅に帰るが、シフはウンチェが襲われないよう影で動いた。格闘賭博の頭ヒボンはヨンに頼まれてヨンの姉ヨニを探していた。ヒボンはチャンからシフに姉がいると聞いて金にするつもりだったが、ヨニの美しさと清い生き方に惚れ、ヒボンはヨンの兄貴だと告げ、姉ヨニが生きていることをヨンに教えて引き合わそうとした。科挙の試験が始まり、シフは弓矢で好成績を収めて次の流鏑馬に挑戦するが、シワンの妨害に遭い失敗する。ヨンはセドルとタンの気持ちを尻目に姉探しに奔走する。
#7 目の前の姉に
ヨニが捕まり、弟ギョムの居場所を吐かせるため拷問されるが口を割らない。ヨンは春画売りの現場を押さえられ逮捕され、ヨニと同じ場所で身柄を拘束される。頭書は互いに気づかなかったが、ヨニはギョムが漢陽でヨンの名前で生きていると聞いたのを思い出し、ヨンのことをギョムだと気付く。釈放後にヨンは同じ牢屋にいた官婢が姉のヨニだと知って驚く。ヨニを餌にギョムをおびき出そうとしていた。ヨンは姉ヨニを救うために手を尽くしたが上手く行かず、結局、ヨニは公開処刑の場に身を晒すことになる。ヨンはその場にいながら涙をこらえて弟であることを名乗り出ることができず、このためヨニは絞首刑となった。ヨンは胸に刺青を掘り復讐を誓うとともに、母探しは断念した。科挙試験にシワンが賄賂の力で首席合格しシフも合格した。シフを小ばかにするシワンの態度に堪忍袋の緒が切れたシフはシワンを上回って見せると宣言する。しかしシフの所属はシワンが上司を務める義禁府だった。同じ頃、シフは科挙の試験の為の書籍を捨てようとし、執事がシフの母タンに書籍を預け、併せてタンはギョムの姉ヨニをチャドルが告発したためにヨニが死んだことを聞き、自分の子チャドルを手放したことを深く後悔する。ヨンは盗賊を捕らえる捕卒になることを目指すとセドルに宣言する。
#8 イルジメ誕生!
ヨンは捕卒になるからと理由を偽って、セドルから塀を乗り越え降りる技を教わり、聴力を鍛える訓練を受け、足音を消す歩き方を学び、開錠技術習得のため手の感覚を鍛え、官吏の屋敷に忍び込み、父を斬った見覚えのある文様のある剣を探した。ある晩、戸曹判書の屋敷から盗み出したものは絵画だったので捨てた。それを偶然デシクが見つけて拾った。実はこの絵は陳画伯の描いた陶淵明画で50万両もする高価なものだった。前科者が一斉に調べられセドルが引っ立てられたほか、盗まれた絵を部屋に飾っていたデシクも連行され拷問された。ヨンは思いも寄らぬ方法で宮殿に入り込み、王への直訴に成功して再捜査を王から約束してもらうことに成功するが、再捜査の結果でもデシクが犯人であることが覆らなかった。デシクの処刑の当日、再び戸曹判書の屋敷に盗みが入り真犯人が別にいることが判明してデシクは釈放される。戸曹判書が集めた数々の貴重品を運んだ牛車も何者化に奪われた。ウォノの屋敷の改築を済ませたウンチェが紅梅の木に登ると、塀の上で寝ていたヨンを見かけ、ヨンが目を覚ますとウンチェが驚いて木から落ちそうになる。
#9 初恋の少年
梅の木から落ちそうになったウンチェを助けたヨンは、ウグイスと梅にまつわる話をした。かつてウンチェが幼いギョムから聞き損ねた話だった。ヨンが牛車で運ばれた戸曹判書の隠し財産を瞬間業で奪うことに成功するが、その手口をシフは現地を隈なく調べて発見する。犯人の似顔絵が街中に貼られ、紙には黒玉を返せと書かれていた。黒玉は黒真珠のことだった。似顔絵を頼りに街中で犯人捜しが行われ、ヨンが追手から追われて逃げると、偶然ウンチェが若い役人に絡まれていたので彼女を助けるが、すぐに殴る蹴るの暴行を振われた。そこにシフが現れてヨンを窃盗容疑の犯人だから引き渡せと要求し、役人からヨンを解放させ、似顔絵と比較すると別人だと分かり、ようやくヨンは無罪放免となる。ウンチェは血まみれのヨンに手ぬぐいを渡す。ヒボンがセドルの始めた錠前屋に場所代を払えと難癖をつけると、見廻りにやってきたシフがヒボンを追い払う。ところがヒボンはシフがギョムの姉ヨニを告発した男だと覚えていた。そのことを聞いたヨンはシフを追い掛けようとするのをヒボンが必死に止める。シワンは賭博で負けが込んでいたがそれをヨンが救う。ヒボンと付き合っていることをしったタンは指を差し出すからヨンを返してくれと頼み込む。シワンはお礼にヨンに食事を招待するが、その料理を出したのはギョムの母ハンだった。ヒボンはヨンを預かっているがゴロツキにはしないとセドルとタンに約束する。
#10 昼の顔・夜の顔
かつて出会った少年の帯飾りの持ち主を探し続けていたポンスンだったが、それがヨンの持ち物だと知り、かつて兄を失った時に自分を支えてくれたのがヨンかも知れないと思う。ヨンは豚の皮を顔に貼り付けて顔を変えて天友会の歓送会に潜り込み、黄金のカエルを盗み出しに成功すすが、天友会はかつて父の友人らの集まりで会ったことを思い出し、父を裏切ったのは会の誰かに違いないと思い至る。ウォノの命日を迎えるとタンは今も法事を行う。それをセドルは切ない目で見つめる。新築の旅館付近の物乞い達を追い払うようシクから命じられたヒボンはヨンを連れて子供を棒で殴るよう命じた。ヨンを組から抜けさせるためだった。ヨンは子を殴るふりをして自分の足を殴り、それを見ていたポンスンはヨンの足を治療する。ウンチェも見ていたが、ヨンが子を殴っていると勘違いしてしまう。シワンに連れられシクの屋敷に行ったヨンはそこで天友会の名簿を探し出すと、父の名が「謀反を図り自決」と書かれているのを知る。シワンはヨンをすっかり信頼してウンチェが役人たちの裏帳簿を管理していることを教える。物乞いに食事を与えて家に連れ返されるウンチェをヨンはイルジメの姿で攫い、暗闇の中でその姿を見せる。