2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

クライマーズ・ハイ 横山秀夫

2003年週刊文春ミステリーベスト10第1位。上毛新聞社の記者時代に、御巣鷹山の日航機墜落事故を取材した著者自身が、18年の歳月を経て、小説に。当時、地元新聞記者の話がやたら多いなあと思って読んでいたのだが、まさしく自身の実体験がベースとなって…

64(ロクヨン) 横山秀夫

2012年「このミステリーがすごい!」と「週刊文春ミステリーベスト10」で1位。惜しくも本屋大賞を逃す。昭和64年に発生した誘拐事件が迷宮入り。この事件に、元刑事で現在広報官の三上がどこまでいっても広報官としての信念を貫く。その独白ぶりは最高にエキ…

石垣島に行きたい 写真/中西康治

最近出たばかりの本ですが、写真中心で、石垣島・竹富島・西表島・波照間島を紹介する写真集とも言うべき本です。今年、石垣島には2回行き、空港から見る沖縄や石垣島の絶景感は、本当にこの写真のままです。日本にもこんなに美しい海が残されていたんだな…

半落ち 横山秀夫

平成15年このミステリーがすごい!第1位。横山さんの作品は、私の趣味的には、あたりはずれが激しいのですが、この作品は、あたりでした。内容の細部については、多少細かい議論がなされているようですが、それを置いても、なぜ事件についての自白はしてい…

ラジオ深夜便 時代を創った女たち NHKサービスセンター

志村ふくみ(染織作家) 平良とみ(女優) 森下洋子(プリマバレリーナ) 樋口久子(元日本女子ゴルフ協会会長) 山田満知子(フィギュアスケートコーチ) 今井通子(登山家・医学博士) 中村昌枝(東京五輪女子バレーボール主将) 戸田奈津子(映画字幕翻訳…

告白 湊かなえ

2009年本屋大賞第1位。この作品から湊かなえフィーバーが始まったように思う。現在放映中のドラマ「Nのために」(榮倉奈々主演)の原作者。通常の作家よりも、読者の好き嫌いが激しくなるタイプの作家のように感じるのは私だけだろうか。

日本を想い、イラクを翔けた ラガー外交官・奥克彦の生涯 松瀬学

平成17年11月20日に発行されたかなり古い本ですが、とても感動的です。 奥さんは早稲田ラグビー部入部式で次のような講演をしています。「ぼくの同期でキャプテンになった奥脇(教)は1年生の練習のときにこんなことをよく言っていました。『みんな、なんで…

見果てぬ祖国 ホセ・リサール 村上政彦(翻案)

スペインから独立したフィリピンの英雄ホセ・リサールの2つの長編小説を翻案した作品。1896年12月30日に35歳の若さで処刑された彼の魂は、その後のフィリピン独立を求める運動につながる。後にこの2つの小説は学校の教育課程に取り入られることになったそ…

投資アドバイザー有利子 幸田真音

時代は変われど,たかがカネ,されどカネ,を漫画チックに描く漫画チックな物語。筆者の小説は結構好きなので,今後いくつかブログしたいと思います。ちなみに有利子とはゼロ金利時代を意識した筆者独自の感性がつけた主人公の名前です。

宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎 村山斉

帯封に *原子全体が野球場だとすると,原子核は野球ボールの大きさ。それよりさらに小さいのが素粒子。 *目に見える星がガスを全部集めても,宇宙全体の重さの4%にしかならない。 *残り96%のうち23%は正体不明の「暗黒物質」。73%はさらに得た…

本能寺の変 431年目の真実

「光秀の末裔がついに明かす!衝撃の真実」という帯封につられて購入したが、大変面白い。ネタばれするようなことは一切書けないけれど、「光秀の定理」の著者垣根涼介さん推薦ともなれば読まずにはいられない。歴史というものは一体誰が作るのかその一旦を…

雪国 川端康成

昭和43年ノーベル文学賞を受賞した有名な川端康成による不朽の名作。冒頭の書き出しを知らない人はいない。新感覚派の代表的作家と言われるが、ただどこがすごいのか、正直まだよく分からない。美しい文章だと思うし、状況描写しつつ、単なる状況描写に止ま…

空気の研究 山本七平

「空気」を研究し,「水」を研究することで,空気に水を差しても無効な程の空気の力を解明している。そして人が本当に空気を把握し得たとき,その人は空気の拘束から脱却している。そこにしか,人類の進歩はあり得ないという。 日下公人(解説)によると,著…

破門 黒川博行

本年度直木賞。エンターテイメントとしては、普通に楽しめる作品ではあるが、どうして直木賞を受賞できたのか、理由が知りたい。桑原と二宮の掛け合い漫才のような軽妙なタッチが、極道のやり方のえぐさを中和させたということ??よくわかりませんでした。

ひとり舞台 脱原発 闘う役者の真実 山本太郎

事務所を離れた理由について、社長から辞めてくれと言われたわけではなく、あくまで自分の信念を貫き、他の人に迷惑をかけたくないとの優しさからだったというのがよくわかります。切々と子供たちに訴えかけていた山本さんの声は耳朶から離れません。この業…

原発ジプシー(増補改訂版) 被爆下請け労働者の記録 堀江邦夫

*財団法人放射線従事者中央登録センターに、かつて原発内労働者として働いていた筆者がセンターを訪ねて自分の体内にどれだけの量の放射性物質が蓄積したのか、内部被ばく量を知りたいと思い、出向いたところ、「教えられない」と断わられたと記載されてい…

自壊する帝国 佐藤優

モスクワに7年あまり駐在した、今や著名人の一人・佐藤優という類まれなる人間力を持つ元外交官による、ソ連崩壊に至る歴史的事実を、人間の内面にまで掘り下げて分析したノンフィクション。サーシャとの深い信頼関係は、佐藤優という人物のすごさを語って…

ファーブル昆虫記 奥本大三郎

55歳の時から約30年かけて書き上げた全10巻からなる自然科学者の古典。 糞転がしで有名なスカラベの話に始まり、ゾウムシを刺して動けなくする蜂の行動を、事実を観察することにより真実を解明していく手法は、忍耐そのものです。 ゾウムシの運動器官を司…

ヘイトスピーチとたたかう! 有田芳生

師岡さんの著作「ヘイト・スピーチとは何か」に刺激されて、もう一冊ヘイトスピーチ関連の書籍を読む。政治家として、法的規制の是非について論じるとともに、日本で現実可能性のある法的規制の具体的な提言に踏み込んでいる点は、評価すべきところもあると…

日本の宗教とキリストの道 門脇佳吉

政治学者の丸山眞男はイエズス会の講演で「日本にはマルキシズムとキリスト教は絶対に入らない。なぜならどちらもしっかりした理論的体系を持っているから」と述べたとか。そして筆者は鎌倉仏教を例に出して確かにそうだと。親鸞は念仏に,日蓮は題目に,道…

采配 落合博満

3つの敵とみな戦っている。1自分,2相手,3数字。 目標を達成するためには必ず一兎だけを追い続けなければならないタイミングがある。 手抜きは叱る。手抜きを放置すると致命的な穴があく。 気心と信頼は別物。 「いつもと違う」にどれだけ気づけるか。 …

エンドロール 鏑木蓮

第2次大戦中に生き残れることができた人達が,その後も生き続け,今は老人となって,独りで死んでいくというストーリのため,「孤独死」がテーマのように扱われている。 *「人って生きたようにしか,死ねないっていうじゃないですか」この言葉がもっとも印…

菜根譚 中国史上最高傑作の処世訓 洪自誠(湯浅邦弘)

明代の末期の作。 魚網の設くるや、鴻則ち其の中に罹る。蟷螂の貪るや、雀又其の後に乗ず。機裡に機を蔵し、変外に変を生ず。智巧何ぞ恃むに足らんや。 *人はつい目前のことにとらわれがちだが、背後に目配りをしないと、意外な顛末に陥る可能性が否定でき…

ヘイトスピーチとは何か 師岡康子

帯封に「それは、差別の扇動ー」とある。 2013年11月1日現在でジェノサイド条約を日本は未批准とのこと(加盟国143カ国に対し)。同年3月にラバト行動計画が報告されたということもこの本で初めて知った。知り得る限り、一番コンパクトにテーマにズバリ切り…

本の「使い方」1万冊を血肉にした方法 出口治明

半端なき教養を身につけた後であるからこそ初めて書ける真の読書術を開陳した書物。新書ではあるものの、読み応え十分。最近西洋絵画にちょっとだけ興味がわいてきたので「聖書に次いで広く読まれた書物」で「これを知らなければ、ヨーロッパの絵画を楽しむ…

創価学会と平和主義 佐藤優

公明党が賛成した集団的自衛権。しかしそれは”名ばかり”のものにすぎない。閣議決定を骨抜きにしたのは、創価学会の平和主義だった。 創価学会が、モンテスキューのいう中間団体という指摘は、面白い。 創価学会の課題として指摘している①ドクトリン形成と②…

松下政経塾とは何か 井出康博

2011年9月10日4刷で読む。季節外れの書ではあるものの、極めて高い支持率で政権を奪取した民主党の現在の体たらくの原因は結局松下政経塾の次から次へと中途半端な政治家を大量生産したことにあるのではないかと思わざるを得なかった。 ちなみに松下幸之助の…

置かれた場所で咲きなさい 渡辺和子(ノートルダム清心学園理事長)

河野進牧師の詩(32頁) こまった時に思い出され 用がすめば すぐ忘れられる ぞうきん 台所のすみに小さくなり むくいを知らず 朝も夜もよろこんで仕える ぞうきんになりたい 水道工事をしている人たちのそばを通りながら語って聞かせる母親の言葉(47頁) …

痴人の愛 谷崎純一郎

私とナオミの小説。理想の女に育て上げようとしていたのに,魔性の女に変身していくナオミに翻弄されていく私。谷崎文学の代表作。耽美派とか言われているのを耳にしたことはあったが,読むのは今回が初めて。大正12年9月1日関東大震災の翌年に大阪朝日新聞…

本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」 前泊博盛

ポツダム宣言→サンフランシスコ講和条約(1951年9月8日サンフランシスコ・オペラハウス)。 そして旧日米安保条約(同日下士官クラブ)。 さらに日米行政協定(1952年2月28日)→日米地位協定(1960年1月19日)。 かつて外務次官をつとめた寺崎太郎氏によると「本能寺は最後の…