2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

合本 三太郎の日記 阿部次郎

1918年6月4日第1刷発行 1993年6月7日第4刷発行 嘗て青春のバイブルと呼ばれた。642頁 第1から第3及び附録により構成されている。 第1の「16個性、藝術、自然」の中に“恋愛”のことが出てくる。 「私達は恋愛によって『成長』する。恋は成っても破れても、…

図解即戦力 暗号と認証のしくみと理論がこれ1冊でしっかりわかる教科書 光成滋生

2021年10月6日初版第1刷発行 以下のキーワードを図解し、説明を加えてくれている。初心者にも分かる箇所があるものの、本当の初心者には、まだまだ理解が難しい。見出しを全て書き出してみて全体の構成を押えた上で、少しでもポイントが理解できたらそれを書…

凧になったお母さん  野坂昭如 

1981年9月初版発行 1987年2月第9刷発行 野坂昭如は自らの空襲体験をもとに戦争童話集を1971年の婦人公論に連載していた。第58回直木賞を受賞した火垂るの墓の原作者でもある。 本書に収められた作品を含め、いずれも1行目が「昭和20年、8月15日」から始まっ…

野火  大岡昇平

1975 年 9 月初版発行 2004 年 2 月第 22 刷発行 作者のフィリピンでの戦争体験を基にしたフィクション。読売文学賞受賞作。作者の代表作の一つに数えられる。 フィリピン戦線のレイテ島を舞台に主人公が肺病のために部隊を追われ病院からも入院を拒否され迷…

2050 年のメディア  下山進

2019 年 10 月 25 日第 1 刷発行 2019 年 11 月 30 日第 2 刷発行 2018 年 4 月より慶應 SFC にて特別招聘教授として、調査型の講座『205 年のメディア』を立ち上げる。本書はその講座を出発点として、読売、日経、ヤフーの三社のこの 20 年の軌跡を調査、メ…

トカトントン 太宰治

2005年8月10日第1刷発行 『走れメロス』と題するデカ文字文庫に収められていた短編。 玉音放送が流れた直後、主人公は「死のうと思いました。死ぬのが本当だ、と思いました」、「その時です。背後の兵舎のほうから、誰やら金槌で釘を打つ音が、幽かに、トカ…

大衆の反逆 オルテガ 桑名一博/訳

1991年7月30日第1刷発行 1992年6月20日第1刷発行 巻末の久野収による「解説=テキストを読む 20世紀人間の具体的人相書き」を読んで、本書が言いたいことが何なのか分かったような気がする。 「『大衆の反逆』は、現代ヨーロッパの思想伝統のなかで、これま…

草の葉(初版) W.ホイットマン 富山英俊訳

2013年5月24日発行 初版は1855年7月、36歳の時に出版された。初版以降、56年、60年、67年、71年、81年版がある。初版はすべて無題の、一篇の散文と12篇の詩からなる。中心は「ぼくは、ぼくを祝福する」、ホイットマンの詩集を読んだのは今回が初めてだが、か…

難民に希望の光を 真の国際人 緒方貞子の生き方 中村恵

2022年2月16日初版第1刷発行 著者:1960年生まれ。1989年に国連高等弁務官事務所(UNHCR)に就職。2000年末にUNHCRを退職し、2001年に筑波大学大学院修士課程カウンセリングコース修了。 緒方貞さんの周囲で約12年仕事をした著者による「緒方貞子入門書」で…

歎異抄 金山秋男/現代語訳

2013年2月10日第1刷発行 作者は親鸞の晩年の直弟子唯円。歎異抄の存在は江戸末期の研究によって知られるようになり、作者も判明。著名な本ではあるが、私にはまったく肌が合わない。 「前序」は第1章から第10章からなる。 「本願を信ぜんには、他の善も要に…

LOVE&SDGs 車いすでもあきらめない世界をつくる 織田友理子

2022年1月26日初版第1刷発行 遠位型ミオパチー(空砲型)と多発性硬化症を患う重度障がい者の3冊目の著作。 遠位型ミオパチーという病名すら私は知らなかった。晴れて大学生になった著者に襲い掛かった難病は、心臓から遠い身体の先から筋力を奪っていく治療…

どくとるマンボウ昆虫記 北杜夫

1975年8月初版発行 1987年7月第15刷発行 斉藤茂吉の次男・斉藤宗吉が「北杜夫」だ。精神科の医者だが、その観察眼の鋭さ・好奇心溢れる筆致には恐れ入る。随所に皮肉・ユーモアが込められていて、今の人たちはそれを読み解く知識があるのか少々心許ない気が…

タゴール 死生の詩(新版) 森本達雄編訳

2002年12月10日初版第1刷発行 2011年7月22日新版第1刷発行 訳者による「『新版』に寄せて」や「あとがき」によると、アジア人として最初にノーベル賞(文学賞)受賞の栄誉に輝いたタゴール。シュヴァイツァーは、タゴールをインドのゲーテと呼び、“タゴール…

西郷南洲遺訓 桑畑正樹/訳

2012年10月15日第1刷発行 本書は庄内藩(山形県庄内地方。藩主は酒井忠篤)の藩士らが薩摩藩を訪れ3か月滞在したことを契機に西郷隆盛から受けた教えを遺訓として藩士の菅実秀らが中心となって編纂した本のエッセンスをまとめたもの。本編は41項目と追加2項…

世界を動かす共感力 ニュージーランドアーダーン首相 マデリン・チャップマン 西田佳子/訳

2021年11月30日第1刷発行 日本の全政治家、特に若い国会議員に是非読んで欲しいと思う。 表紙裏に「迅速な判断、丁寧な発信で、ニュージーランドでゼロコロナを実現したアーダーン首相。彼女は2017年、37歳で、首相に就任。2019年、ニュージーランド史上最悪…

だから拙者は負けました。日本史の敗者たちの“しくじり”と言い訳 監修/本郷和人

2020年5月23日第1刷発行 第1章 飛鳥〜平安時代 蘇我入鹿 長屋王 藤原仲麻呂 道鏡 菅原道真 平将門 藤原道憲(信西) 第2章 鎌倉・室町時代 源義経 北条時政 後鳥羽上皇 新田義貞 足利義教 太田道灌 細川政元 第3章 戦国時代 今川義元 足利義昭 朝倉義景 …

ホメーロスのイーリアス物語 バーバラ・レオニ・ピカード作 高杉一郎/訳

2013年10月16日第1刷発行 盲目の吟遊詩人ホメーロス(紀元前9世紀から8世紀頃)は、紀元前1159年(諸説あり)にあったトロイア戦争にまつわる、人類最大の叙事詩『イーリアス』と『オデュッセイア』の叙事詩を吟唱して歩いたとされている。 イーリアスは、ギ…

「四権分立の可能性‐日本とコスタリカ共和国の制度の比較を通じて」石坂広樹 『四権分立の研究―教育権の独立-』大崎素史編著

2014年3月16日初版1刷発行 教育権を、三権分立から更に独立させて、四権分立にすべきではないか? その観点から書かれた本論稿は、これまで深く考えたこともなかった、日本の教育制度なかんずく教育委員会の制度が果たして今のままでいいのかという疑問に真…

仏教ー調和と平和を求めて Buddhism:A Quest for Unity and Peace ヨハン・ガルトゥング 高村忠成/訳

1990年12月20日発行 帯封に「『平和学』の世界的権威が現代に問うー仏教が”調和と平和”世界創出に果たす役割。地球的諸問題解決へ貴重な試みー中村元東大名誉教授」とある。 「序」は中村元教授による。最後の2行に「地球住民であるわれわれに対して惰眠から…

赤毛のアン L.M.モンゴメリ 花岡花子/訳

2008年7月31日第1刷発行 2018年12月27日第40刷発行 11歳のアンは、孤児院から、兄マシュウ・妹マリラの家に引き取られることになる。当初男の子を引き取る予定だったが、明るくておしゃべりなアンをマシュウが気に入り、いつの間にかマリラもアンを引き取る…

武器を捨てよ!〈下〉 ベルタ・フォン・ズットナー ズットナー研究会/訳

2011年6月20日初版 下巻は「第4章 1866年―普墺戦争」「第5章 平和な時代」「第6章 1870~71年―普仏戦争」「エピローグ 1889年」で構成されている。 第4章 再び戦争が始まり、マルタの夫ディリングは戦地に向かう。マルタと父は再び戦争について激論を交わ…

武器を捨てよ!〈上〉 ベルタ・フォン・ズットナー ズットナー研究会/訳

2011年4月30日初版 ピータ―・ヴァン・デン・デュゲン(英国ブラッドフォード大学平和学客員講師(博士)平和のための博物館国際ネットワーク代表)によると、1889年にドイツ語で出版。当時、女性に選挙権がなく、公的な生活から女性が完全に排除されていた時…

老人支配国家 日本の危機 エマニュエル・トッド

2021年11月20日第1刷発行 今、かなり売れている新書。表紙裏に「若者の生活を犠牲にして老人のコロナ死亡率を抑えた日本だが、社会の存続に重要なのは高齢者の死亡率より出生率だ。「家族」が日本社会の基礎だが、「家族」の過剰な重視は「非婚化」「少子化…

東海道四谷怪談 金原瑞人

2016年3月10日第1刷発行 作者は四代目鶴屋南北。1825年、江戸中村座で初演。歌舞伎ではお岩と小平をひとりで演じ、更に与茂七も演じる。仮名手本忠臣蔵番外伝と作られていて四谷怪談と忠臣蔵が交互に上演されていた。 蜷川幸雄演出、伊右衛門を竹中直人、お…

対岸の彼女 角田光代

2004年11月10日第1刷発行 2005年6月10日第16刷発行 35歳の小夜子が3歳の娘を連れて公園デビューするが、小夜子自身が人見知りをしてママ友が出来ない。娘もいつも一人で遊んでいる。そんな小夜子が娘を保育園に預けて姑に嫌味を言われながら清掃業の会社で…

意識は科学で解き明かせるか 脳・意志・心に挑む物理学 天外伺朗 茂木健一郎

2000年3月20日第1刷発行 裏表紙に「最後のそして最大の難問に、突破口はあるか」「物質からできている脳に、なぜ『意志』が生じるのか?劇的な進歩をとげた近代科学に、立ちはだかる最後のハードプロブレム。人間は自らの脳で、この問題を解決することができ…

きちんと知ろうイスラーム 岩木秀樹

2022年2月16日初版第1刷発行 表紙に「偏りのない正しいイスラーム理解を通じて、『正しい世界観・歴史観』を学ぶことを目指している。『はじめに』より」とあり、なじみの薄いイスラームを分かりやすく説明してくれている。イスラームに詳しい研究者に、詳し…

高瀬舟 『舞姫 森鴎外珠玉選(下)』 森まゆみ/訳

2013年10月15日発行 「安楽死」と「足るを知る」という、2つの大問題を扱った「高瀬舟」。 安楽死は、古くて新しい問題であり、法律的な議論や倫理的な議論がかしましくなされている。鴎外はこの問題を取り上げたくて本作品を書いたのだろうか?この作品が…

リボルバー 原田マハ

2021年5月25日第1刷発行 ゴッホが自殺する時に使ったリボルバーと称してオークション会社に持ち込んだサラ。その調査に当たった冴。冴はゴッホとゴーギャンを中心にフランスの大学で研究してきた経歴を持つ。一般的にはゴッホとゴーギャンが一時期共同生活を…

小僧の神様 志賀直哉

1975年初版発行 1987年8月第11刷発行 短いが、考えさせられる小説だった。 秤屋に奉公している仙吉は番頭たちが旨い屋台鮨屋の話をしているのを耳にした。その鮨屋の位置だけを知っていた仙吉はある時使いに出た時、その鮨屋ののれんをくぐり、「勢いよく」…