2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

読書力 齋藤孝

「本は並べ方が大事」の中で、「系譜の意識」をはっきりさせる、本と本との結びつきを考えながら配列する面白さを指摘している点は、なるほど、と唸りました。これまで何となく似た者同士を並べてきまましたが、系譜を意識するということで、読書力があがる…

変身 カフカ 高橋義孝訳

ある日、主人公が起きたら虫に変身していた。けれど、家族の声は聞こえている。父、母、妹と、主人公との距離は、その声と主人公の受け止め方で分かる。でも、なんで虫に変身したのかはさっぱり分からない。小説というものはそういうものなのか。 主人公は最…

人生と陽明学 安岡正篤

1つには、出来るだけ長い目で見て、目先にとらわれないということ。 2つには、出来るだけ多面的に、或いは全面的に見て、一面に拘らないということ。 3つには、出来るだけ根本的に考察して、枝葉末節に走らないということ。 思考上の3つの大きな原則であ…

安岡正篤と終戦の詔勅 戦後日本人が持つべき矜持とは 関西師友協会編

「萬世の為に太平を開く」は、安岡正篤が修文していれたことを初めて知りました。 出典は宋代の哲人・張横渠(張載)の4つの格言の最後のものとのこと。 「義命の存する所」と修文するべきところ「時運の趨く所」となってしまったのは千古の惜しむべき失敗と…

風の中のマリア 百田尚樹

命はわずか30日。オススズメバチ「マリア」が、偉大なる母のため、戦い続ける、昆虫学を分かりやすく、教えてくれる小説。永遠のゼロと同一作者というのが面白いですね。

永遠の0(ゼロ) 百田尚樹

本屋大賞受賞。200万部突破。著者デビュー作。 祖父の戦友の証言を聞く孫が、祖父が「臆病者」(愛する者のために何が何でも生きて帰ろうとする希望なきチャレンジの連続の中で受けた評価)と言われながら、なぜ特攻で死ぬ道を選んだのかを知り、ニートとし…

華岡青洲の妻 有吉佐和子

世界初の全身麻酔による外科手術を成し遂げた華岡青洲の妻・加恵(後に盲目)と母・於継との確執を大きな柱としつつ、嫁姑という厄介な問題を小説仕立てでグイグイと読ませる作者の力量はすごい。昭和41年に女流文学賞を受賞したとのことだが、久しぶりに味…

青年の大成 青年は是の如く 安岡正篤

世間の俗談に、臍から上を人格、臍から下を品行と称す、などというが、本当は人格が良くなれば、品行も良くならねばらない。 胎児の研究のことをneotenyネオテニーといいます。 幕末の三舟(勝海舟・山岡鉄舟・高橋泥舟)。 ナポレオンも、ペスタロッチも、…

100分de名著 獄中からの手紙 ガンディー 中島岳志

「よいものはカタツムリのように進むのです」という言葉は有名だが、自らも弁護士をしていたガンディーが「鉄道」「弁護士」「医者」の3つはいらないと言っていたというのは知らなかった(「禁断のスピードへの懐疑」)。「鉄道」は邪悪が広がるから、「医…