安岡正篤と終戦の詔勅 戦後日本人が持つべき矜持とは 関西師友協会編

「萬世の為に太平を開く」は、安岡正篤が修文していれたことを初めて知りました。
出典は宋代の哲人・張横渠(張載)の4つの格言の最後のものとのこと。
「義命の存する所」と修文するべきところ「時運の趨く所」となってしまったのは千古の惜しむべき失敗とのこと(「義命」の出典は春秋左氏伝)。道義・良心のもとに降伏するのであるから「義命」でなければならなかった。

終戦後の「同志に告ぐ」に次のようなものであった。8月21日。
感激と憤発、これこそ人間の最も霊活な力である。然しながらその発憤は必ず深い反省と相待たなけれならぬ。反省なき発憤は一場の客気に止まり、憤発無き反省は要するに愚痴と悔恨とに堕し、共に論ずるに足らぬ。
日本は何故負けたか。之を此の際、偽ることなく、等閑にすることなく、明確に深切に自覚して、漸憤せねばならぬ。
今後同志の活動に先ず根本となる心構え、信念とも謂うべき3カ条を約する。
①一時の治乱得失に狼狽えてはならぬ。
②漫に批評排擠を事とせず、常に何等か御役に立つよう、即ち有為の士となり、俗に所謂貸方に廻らねばならぬ。
③あらゆる難苦欠乏に堪えて、而も心も明快余裕を保ち、身嗜みや生活の改善を忘れてはならぬ。
国民としての行動には差し当たって4つの大方針をあげることができる。
①この戦争の犠牲者、それに絡まる不幸な人々を出来るだけ救済すること
②秩序を正し信義を重んじて1日も早く円滑に連合軍を撤収させること
③国民の生業を安定し、人心風俗を匡救して、特に次代を担当すべき子弟の教育に周到な注意と努力を払うこと
④この時にこそ、世界、特に支那を正しく研究し、真の善隣関係を回復し、朝鮮問題位の永遠的解決を志すこと
之に基づいて我々が分に応じ能に随って着々進行すべき志業は大要さの如き。
①同志の智見を磨き、教養を高め、連絡を密にすべき言論機関を持つこと
②模範的産業、同学校、同宗教施設等を持つこと
③高度の自治力を持ち、国家の健全な細胞的活動を為す農村を数多く、建設すること
④優れた政治力を持つ同志の政党を組織発達させること
最後に同志の為にこの際特に挙々服脣すべき格言を録示する。
(四耐)(四不)(四看)(六然)