2021-12-01から1ヶ月間の記事一覧

南総里見八犬伝 砂田弘

2002年4月第1刷 2013年9月第6刷 滝澤馬琴があしかけ28年を費やして完成した長編小説。原作は98巻106冊もあり、現在の文庫本でも全10冊ある。西本鶏介(昭和女子大学教授)の解説に「仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の八徳の王を持つ八犬士が最後に出会うまで…

ヒューマンライツ 人権をめぐる旅へ  香山リカ【対談集】

2015 年 12 月 10 日初版発行 アイヌ民族否定問題 ×マーク・ウィンチェスター「アイヌ民族なんて、いまはもういない」とツイッターに書きこんだ金子快之札幌市議の言動とそれを後押しするネットのヘイトに対し、どうして差別はいけないことだという単純なこ…

弁天小僧   那須田淳

2019 年 3 月 31 日第 1 刷発行 作者・河竹新七。歌舞伎では鎌倉時代を物語の設定にしているが、この本では江戸時代を舞台に。 あとがきから読むと、 『青砥稿(ぞうし)花虹彩(にしき)絵』の登場人物の 1 人「弁天小僧菊之助」が幼馴染の力丸と一緒に婚約…

ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか 佐藤知恵

2020年6月25日1刷 「終章 日本の強みを自覚せよ」は、日本人を元気にしてくれる内容だ。 ・国のブランドランキングで1位 フューチャーブランド・カントリー指数ランキングで1位。アンホルトGfK国家ランキングでは2位。テクノロジー、インフラストラクチャ、…

静かなドン ショーロホフ 原久一郎・竹森一男訳

1968年1月初版発行 1987年10月第16刷発行 主人公の1人、グリゴーリイは、最終盤で「どっちが、なにが正しいのか」という内心の矛盾撞着を独り言ちる。国内が戦争・内戦に巻き込まれ、コサックの師団長として、次から次へと理不尽な境遇に巻き込まれた、一人…

仮名手本忠臣蔵  石崎洋司

2017 年 2 月 28 日第 1 刷発行 忠臣蔵に目をつけた竹田出雲をはじめとする三人の脚本家が舞台を室町時代にタイムスリップさせて人形浄瑠璃としたのが「仮名手本忠臣蔵」。最初の刃傷事件は江戸城でなくて鎌倉の鶴岡八幡宮で起きる。ここに足利直義(尊氏の…

ジャン・クリストフ(下) ロマン・ローラン  豊島与志雄・大蔵宏之訳

1967 年 1 月初版発行 1987 年 10 月第 17 刷発行 下巻は、アントアネット、家の中、女友だち、燃えるいばら、新しい日で完結。上巻より、ぐっと読み易い。感情移入し易くなっている。 アントアネット:銀行家を父に持つものの、投機に手を出し破産して、自…

迎賓館 赤坂離宮 田原桂一

2016年10月19日第1刷発行 プチ・ヴェルサイユと表現されている「迎賓館赤坂離宮」について、ネオ・バロックの西洋建築と評しつつ、庭園には松を多く配置し、わが国特有の文化を装飾に施すことによって固有の存在感を現してきたと述べ、それを視覚に訴えかけ…

しらべよう!47都道府県 郷土の発展につくした先人 ①開発 監修/北俊夫

2021年4月初版第1刷 センジンファイル001 秋田 栗田定之丞(1767~1827) 能代市「風の松原」(砂防林 幅1km、海岸14kmにわたって)を作り、田畑を守る センジンファイル002 栃木 印南丈作(1831~1888) 矢板武(1849~1922) 那智川と箒川に囲まれた那…

曽根崎心中 今丈ヒロ子

2019年1月31日第1刷発行 日本のシェークスピアとも言われ、芝居台本の作者として生きた近松門左衛門。有名な曽根崎心中だけでなく、近松の生涯が詳しく紹介されている。1703年4月7日、大阪の曽根崎村にある天神の森(現・露天神社)で、お初と徳兵衛という若…

ジャン・クリストフ(上)ロマン・ローラン 豊島与志雄・大蔵宏之訳

1966年12月初版発行 1987年10月第20刷発行 上巻は、あけぼの、朝、青年、反抗、広場の市まで。 あけぼの:大酒飲みの父にピアノの才能を見出されて特訓を受けるが、すぐに嫌になる。優しい母が印象的。 朝:生活が困窮し、父の給料を自分が受け取ることにす…

地経学とは何か 船橋洋一

2020年2月20日第1刷発行 はじめに 四つの「メガ地経学」 ⅰ第四次産業革命を牽引する技術とイノベーション、ⅱグローバル・サプライ・チェーンを握るコネクティビティ構築のための戦略的インフラ投資、ⅲ国際秩序を構築するためのルール・規範・標準の設定、ⅳ気…

希望と幸福  ヒルティの言葉  秋山英夫(訳編)

1984 年 1 月 30 日初版第 1 刷発行 1992 年 7 月 30 日新装版第 1 刷発行 「第1部 ヒルティの言葉」から 人間のあらゆる性質のなかで、嫉妬は最もいまわしい性質であり、虚栄は最も危険な性質である。この二匹の心中のヘビから解放されることは、すばらし…

義経千本桜  越水利江子

2018 年 12 月 31 日第 1 刷発行 「太平記」より遥かに面白い。どうしてもっと早く読んでおかなかったのだろう、と悔やまれる。文楽でも歌舞伎でも有名な演目なので、必ず観てみたい。 冒頭は、出家することを約束して殺されずに済んだ義経の母が義経を鞍馬…

小さき者へ 生れ出づる悩み 有島武郎

昭和30年1月30日発行 昭和55年2月10日49刷改版 昭和57年6月5日54刷 裏表紙に「妻を失い、新しく芸術に生きようとする作家の覚悟と、残された小さき者たちに歴史の未来をたくそうとする父性愛にあふれたある夜の感想を綴る『小さき者へ』」と。 6歳、5歳、4歳…

夏の夜の夢 ウィリアム・シェイクスピア 原作 小田島雄志 文

2016年9月初版第1刷発行 シェイクスピア30歳過ぎの喜劇(1595年頃)。恋の三色スミレという花を汁を眠る者の瞼に注ぐと、目が覚めて最初に見るものに恋をするため、ハーミアに恋していた二人の男来サンダーとディミートリアが、途中からヘレナを恋して追いか…

佐藤優「情報読解」の私塾 赤版 日本、北朝鮮、韓国、中国の転換点・篇 佐藤優

2019年2月28日第1刷 第1部 この国はどこへ向かうのか 北方領土・篇 「ロシアにおいて外交は大統領の専権事項」「本気で交渉を行う前にハードルをあげてみせることは外交の世界ではよくある」 (佐藤さんならではの視点だと思う。この二つのことを知っておけ…

一握の砂・悲しき玩具  石川啄木歌集 石川啄木 金田一京助編

昭和27年5月15日発行 昭和43年3月10日28刷改版 昭和57年6月10日55刷 「序」を藪野椋十が書く。「高きより飛びおりるごとき心もて この一生を 終るすべなきか」を引用して「此ア面白い。ふン此の刹那の心を常住に持することが出来たら、至極ぢゃ。面白い処に…

教養脳 自分を鍛える最強の10冊 福田和也

2021年5月20日第1刷発行 『万葉集』楽しさに浮かれ哀しみに沈む、今と昔を超える日本文藝の形 万葉集の歌を読み味わうことは、寛容から広がっていく情感に身を委ね、上下左右の立場や身分のみならず、人と生き物、山河と風水の境目も、今と昔、今日と明日の…

水と緑と土  伝統を捨てた社会の行方 改版  富山和子

1974 年 1 月 25 日発行 2010 年 7 月 25 日改版発行 表紙裏に「かつて日本人は自然を愛し自然に対応して生きる民族だった。それがなぜ現在のように自然を破壊するようになったのか。伝統的な自然観との断絶の跡をふりかえり、自然と人間社会とのバランスを…

危険不可視社会 東京大学名誉教授 畑村洋太郎

2010年4月5日第1刷 本書を読んで、私が関心を抱いたのは次の3つです。一つ目は、司法は責任追及が主で、原因究明はサブ、という視点があること。 この部分を読んで個人的には、司法制度の役割からしたら当然と言えば当然だが、原因究明は司法がやってくれる…

世界の文学セレクション36 22チェーホフ かもめ/ワ“-ニャ伯父さん/三人姉妹/桜の園/他 神西清訳

1993年12月20日発行 1841年生まれ、1904年44歳没 「細部」の人 東京大学教授 川端香男里 トルストイがチェーホフについて「全体として驚くべき印象」と言っているのは見事な評言である。簡潔に書かれた細部の背後に、書かれてはいないが的確に示唆されている…

パンデミックの文明論 ヤマザキマリ・中野信子

2020年8月20日第1刷発行 表紙裏「新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマから現代まで時空を超えて、目か…

複合汚染 有吉佐和子

昭和54年5月25日発行 平成14年5月5日49刷改版 平成19年4月20日54刷 裏表紙に「工場廃液や合成洗剤で河川は汚濁し、化学肥料と除草剤で土壌は死に、有害物質は食物を通じて人体に蓄積され、生まれてくる子供たちまで蝕まれていく……。毒性物質の複合がもたらす…

コロナ時代の食事法 重症化を防ぐ最高の体調を作る 白澤卓二

2021年11月10日初版第一刷発行 1章 免疫の要!腸内フローラを活性化し重症化を防ぐ食事法 マヌカハニー以外は、ほぼ実践していました。特に、味噌、豆腐、キムチ、キノコ、ワカメ、チーズは、ほぼ毎日のように取り入れていたので、よかったです。エゴマ、オ…

100分de名著 「日本人」とは何者か? 河合隼雄『中空構造日本の深層』 斎藤環 / 鈴木大拙『日本的霊性』 中沢新一

100分de名著 「日本人」とは何者か? 河合隼雄『中空構造日本の深層』 斎藤環 日本の神話の中空構造という視点を提示する河合の説明は難しい。神道が融通無碍である、日本では弁証法は成立しない、個人の個性や自己主張を重要視するよりは全体としての場の調…

世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ! 元オーストラリア連邦議会議員・国会条約審査委員長 スポーツ観光省(シドニー・オリンピック担当)大臣 アンドリュー・トムソン 翻訳・監修 山岡鉄秀

2021 年 4 月 1 日初版第 1 刷発行 2021 年 5 月 20 日第 2 刷発行(著者略歴)1961 年、オーストラリア生まれ。メルボルン大学法学部、文学部(日本語・中国語)卒城、ジョージタウン大学法学修士号取得。1983 年、慶應義塾大学に留学。1986 年、北海道大学…

説得の論理 3つの技法 草野耕一

2003年1月6日第1刷発行 現在最高裁判事の1人。西村あさひ法律事務所の代表パートナー。1955年生まれ。そもそもどんな人なんだろうと思い、思わず手にしてみたところ、部分的には納得するところもあり、納得できないところもあり、という本でした。 誰も説得…

歴史探偵 昭和の教え 半藤一利

2021年7月20日第1刷発行 半藤さんの未収録エッセイ集第2弾。 『孟子』から出た言葉、として「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」をあげ、武田節の「人は石垣、人は城」の出典とする。 『海舟座談』にある「機は感ずべきもので、言うことの出…

テンペスト ウィリアム・シェイクスピア 原作 小田島雄志 文

2016年9月初版第1刷発行 47歳頃のシェークスピア最後の作品。「ロマンス劇」と呼ばれている。 「テンペスト」は嵐の意味。プロスペローの弟アントーニオは、ナポリ王アロンゾーと手を組み、ミラノ公爵だったプロスペローを罠にはめて、娘ミランダとともに追…