2019 年 3 月 31 日第 1 刷発行
作者・河竹新七。歌舞伎では鎌倉時代を物語の設定にしているが、この本では江戸時代を舞台に。
あとがきから読むと、
『青砥稿(ぞうし)花虹彩(にしき)絵』の登場人物の 1 人「弁天小僧菊之助」が幼馴染の力丸と一緒に婚約を破棄された千寿を騙して大金・宝物をかすめ取ろうとしたとき、大泥棒の日本駄右衛門一味からこの不幸の背後にあるもっと大きな事件が隠されているのを知らされる。。。
美しい武家の姫に化けた菊之助が、呉服屋の浜松屋で、伴の力丸と小夜と一緒に難癖つけて100両をせしめることに成功した矢先、姫の正体を暴いた侍をすっかり信じ込んでしまった浜松屋の主人。が、この侍こそが実は駄右衛門。2万両をかすめ取ろうと倉庫に押しいるや、倉庫はもぬけの殻。2日前に北条家に全額貸し付けたとのこと。駄右衛門が主人を脅しつけると、その息子宗之助が身を差し出し、15年前に主人に拾われた恩義があると。15年前の話を詳しくすると、実は宗之助こそ駄右衛門の実の子。そして菊之助こそ主人の実の子であることが分かる。そして菊之助が千寿姫から奪った胡蝶の香合が、からくり箱の暗号を解くと、中から悪代官の不正を裏付ける二重帳簿が出てくる。ところが駄右衛門の子分悪次郎が悪代官の回し者で主人に短刀をつきつけ、それをかばった菊之助が致命傷を受ける。手入れの際、咄嗟に力丸と菊之助が証拠の帳簿をもってその場から逃げ去るが、菊之助は力尽き、力丸が証拠を携えて青砥屋に駆け込み悪代官が取っちめられ、菊之助は絶命する。
「知らざあ言ってきかせやしょう・・弁天小僧菊之助たぁ俺がことだぁ!」という口上で有名な菊之助でした。