南総里見八犬伝 砂田弘

2002年4月第1刷 2013年9月第6刷

 

 滝澤馬琴があしかけ28年を費やして完成した長編小説。原作は98巻106冊もあり、現在の文庫本でも全10冊ある。西本鶏介(昭和女子大学教授)の解説に「仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌の八徳の王を持つ八犬士が最後に出会うまでのスリリングな活躍ぶりは小説というものの醍醐味を改めて教えてくれます」とあったが、本当にその通り。

 室町時代結城合戦に敗れた里見義実(よしざね)は、安房に渡るも、隣国の安西景連(かげつら)に攻められた際、飼い犬の八房に伏姫を嫁にやるから討ち取って来いと半ば冗談で話をすると、何と八房は景連の首を加えて帰ってきた。八房と伏姫は安房郡富山の洞穴生活を始めるが、八房を射抜いた鉄砲の弾が伏姫まで撃ってしまい、義実が数珠を首にかけると、一度は命を吹き返した伏姫だったが、自ら守り刀を腹に突き立て自害する。すると数珠が中に舞い上がり、途中で糸がpu吊り戸切れて玉がバラバラッと地上に落ちた後、文字のある八つの玉だけが八つの方角に飛び続けた。これが、後に、犬塚信乃、犬川荘介、犬山道節、犬飼現八、犬田小文吾、犬江親兵衛(しんべえ)、犬坂毛野、犬村大角の八犬士の出生につながる。

 ところで、この南総里見八犬伝って、きっとドラゴンボールの生みの親というが下敷きになっているような気がする。玉を集めると願いが叶うドラゴンボールのストーリーと、玉を持っている剣士が次々に集まってくるという八犬伝のストーリーとの違いは当然あるものの、玉を中心に、奇想天外な物語が次々に展開していく面白さには共通項があるように思う。