パンデミックの文明論 ヤマザキマリ・中野信子

2020年8月20日第1刷発行

 

表紙裏「新型コロナの話で意気投合した、異色の二人が緊急対談。各国の感染症対策を見れば国民性がわかる。徹底して根絶を目指す欧米に対して、アジアはほどほどに共存しようとする。話題は古代ローマから現代まで時空を超えて、目からウロコの文明論が展開される」

 

期待したとおり面白かったです。

例えば、イタリアなど欧州では洟をすする方がNG、ヤマザキさんは夫から自分のかんだハンカチを寄こされたと。これが感染拡大を招いているんではないかという分析をしている。

欧米では自然も疫病も戦う相手だから、マスクすること自体、病気になったことを認めてしまうアイテムという意識が強いため、外してしまうことが多い。(いずれも、へ―って思います。)

正義の制裁を加えると、脳の快楽中枢が刺激され、快楽物質であるドーパミンが放出されるため、有名人の不倫スキャンダル・バッシングが横行する。

欧米では小学校1年生から演説力を鍛えられる。古代の伝統の上に築かれた民主主義の形だとも。

新奇探索性をつかさどる遺伝子はアメリカ人やブラジル人に多く、東アジアではそうではない。「浮気遺伝子」と呼ぶ研究者もいるとか。

(手洗い率はイタリアで57%、オランダ50%。ドイツ78%、ポルトガル85%。これもコロナ感染拡大に影響があるんじゃないかな)

古代ギリシャ的思考では「面積のない点」「太さのない線」があるが、実学・リアル的思考のローマではありえない。(ほー、って感じですよね。)

トラヤヌス帝の時代にはローマの都市部に風呂が一千軒もあった。セロトニン外交だとも。

至るところに、へー、なるほど、ほー。と思わせる内容があり、面白かったですね。

続編を期待します。