変身 カフカ 高橋義孝訳

ある日、主人公が起きたら虫に変身していた。けれど、家族の声は聞こえている。父、母、妹と、主人公との距離は、その声と主人公の受け止め方で分かる。でも、なんで虫に変身したのかはさっぱり分からない。小説というものはそういうものなのか。
主人公は最後死んでしまう。そして父と母と妹は久しぶりに楽しそうにして外出する場面で終わる。

裏表紙には「ある朝、目をさますと自分が巨大な毒虫に変わっているのを発見する男グレゴール・ザムザの物語は、異常な事件それ自体よりも事件をごくありふれた日常茶飯事のように語る冷静な報告書の文体によって読む者に激しい衝撃を与える。第1次世界大戦後のドイツの精神的危機、破局の意識から来る絶叫、忘我、新しきものの待望などを変身した男に託して描き、現代実存主義文学の先駆をなす傑作」とある。