合本 三太郎の日記 阿部次郎

1918年6月4日第1刷発行 1993年6月7日第4刷発行

 

嘗て青春のバイブルと呼ばれた。642頁

第1から第3及び附録により構成されている。

 

第1の「16個性、藝術、自然」の中に“恋愛”のことが出てくる。

「私達は恋愛によって『成長』する。恋は成っても破れても、兎に角恋愛によって成長する。併し成長する為に、恋するのは、恋愛ではなくて恋愛の実験である。成長の目的が意識にある限り、その恋愛の経験は根底に徹することが出来ない。成長も破滅も此恋に代へられなくなる時に、恋愛は始めて身に沁みる経験となる。さうしてその恋の結果として私達は成長するのである」

 

第2の「2理想と実現」の中に“飛躍”のことが出てくる。

「飛躍とは本質の飛躍であって、自意識の飛躍ではない。操急なる飛躍者に在りては、自意識が飛躍して本質が取り残さる。」「真正の飛躍を望む者は本質に飛躍す可き力の充ち溢れる迄押こらへて待っていなければならない。基督は曰う、『終りまで待つ者は救わる可し』と。悪魔は曰う、『終りまで待つ者は腐る可し』と。」

 

第3の「16奉仕と服従」には「奉仕とは『己れ』を捨てて『己』ならぬもののために盡すことである。服従とは『己れ』を捨てて『己れ』ならぬものの意志に従うことである」とあった。「奉仕とは自我の本質の肯定である」「奉仕は自我の拡充を根拠とするに反して、服従は自我の無力をー自我無力の事実若しくは自覚を根拠とする」

 

難しくて拾い読み程度しかできなかった。いつか通読してみたいと思う。それにしても昔の人はこれを普通に誰もが読んでいたんだなあと思うと、昔の人のレベルは相当高かったと思う。今の人のレベルはやはり落ちてしまったと昔の人から言われそうだ。