現代語で読む たけくらべ 樋口一葉(現代語訳 山口照美)

2012年8月初版第1刷発行

 

巻末の現代語訳をした山口照美によれば、「背比べをして一緒に遊んでいた子ども達が、少し大人になって進路が分かれていく過程を読みとる面白さがあります」、「自分の体が『女』であると自覚して、恥ずかしさに混乱する美登利。『男』としての通過儀礼を経て、大人になった余裕を身につける長吉。淡い恋愛感情と決別し、『僧侶』としての道を歩もうとする信如。そして、成長する仲間達に置いて行かれた淋しさを味わう正太郎。それぞれの大人への道のりを樋口一葉は鮮やかに描き分けています」とある。そういうつもりで読めば、確かにそのように読める。大人と子どもの間で揺れ動く美登利。正太郎、信如、長吉の3人の男の子のうち、長吉は遊郭で泊まった翌朝、鼻緒を切って困っている信如に会う。子どもの世界に取り残された正太郎は美登利に甘える少年らしい幼さに溢れている。