次代のノーベル文学賞候補とも言われる中国の作家・閻連科(えんれんか)が禁断の愛を描いた『人民に奉仕する』を韓国で映画化。『人民に奉仕する』は刊行直後に発禁処分となり世界が注目。
舞台は社会主義国(文革後の中国っぽいが、北朝鮮の雰囲気も)。若き模範兵士のシン・ムグァン(ヨン・ウジン)は師団長の家の炊事兵になる。師団長(チョ・ソンハ)の妻リュ・スリョン(ジアン)は若くて美しい。師団長が長期の出張に出掛けたため、家にはスリョンとムグァンだけが残る。スリョンは1階の木牌が本来の位置になければ用があるので2階に上がるよう命じる。もっとも師団長からは2階に上がるなと命じられていたため、木牌の位置が変わったのを見たムグァンは戸惑いながら、スリョンの命に従って2階に上がると、下着姿でスリョンが横たわっていた。スリョンから年齢は4つしか違わないから2人切りの時は奥様と呼ばず姉さんと呼ぶように命じられる。次の機会にも木牌の位置が変わっていたが、なかなか2階に上がれないでいた。すると3時間も経ってからスリョンが降りて来て、ムグァンに汗臭いから体を洗えと命じ、2階に上がるとまたもスリョンが下着姿でいた。スリョンはムグァンが素直に命令に従わないと言って上司に交代を命じ、ムグァンはその日のうちにスリョンを翻意させられなければクビになるところまで追い込まれた。ムグァンは貧しい農村の出身で学歴もコネも無く、義父に出世を約束し、妻には出世を誓う血判状まで書かされて懸命に頑張ってきたので出世の手掛かりになる炊事兵の立場を失いたくなかった。やむなく上官の妻の命令には何でも応じると決意し、そのことをスリョンに伝えると、スリョンはムグァンに目の前で全裸になるよう命じる。これに応じたムグァンは理性が押さえられずスリョンの唇を奪い体を重ねる。事を終えたスリョンがソファーに座ると、ベッドのシーツの上に真っ赤な鮮血が。どうやらスリョンは処女のようだった(師団長は性的不能だったのだろうか?)。次の日スリョンは全裸でムグァンを待ち焦がれ再び激しく絡み付く。スリョンは一度気を失うが、再び意識を取り戻すと「今まで生きてきた甲斐があった。これで死んでも悔いはない」と静かに呟く。家から一歩も出たことがないスリョンを自転車の後部座席に乗せ監視の目を誤魔化して密に屋外に連れ出し、靴のないスリョンのためにムグァンは真っ赤なハイヒールを買い、森の中をサイクリングする。滝のある湖畔に辿り着くと、2人は唇を重ね、思う存分に解放感に浸る。帰宅後、再び裸で水浴びをしていると、突如帰宅した師団長が裸のムグァンを射殺し、弾の続く限りスリョンに向けて蒲団の上から発砲した。難を逃れたスリョンに再度発砲すると、これは空包だった。そこでムグァンの夢が醒めた。師団長の帰宅は夢の中の出来事だった。高麗人参酒を2人で味わい、スリョンは師団長との馴れ初めを話す。銃弾を体中に浴び、英雄と呼ばれた師団長は、股間にも銃弾が貫通し男でなくなったが、それでも断れずにスリョンは師団長と結婚したことを告げる。そのことを聞いた後再び2人は体を重ねた。ある時、ふとしたことで首席様の下賜品を落として割ってしまったことで互いに責任を擦り付けて口論となるが、その場で続けて暴力的なSEXに走り、スリョンは交合いながら平手打ちを命じて喘ぎ、ムグァンは背面から髪を引っ張りながら後背位SEXをする。やがて2人は家の中では裸で暮らそうと言い、玄関の鍵を閉め、カーテンも閉じ、家の中の至る所でSEXをし続けた。階段でも、師団長の執務室の机上でも(騎乗位も背面騎乗位も櫓立ちも)、ソファーの上でも、ありとあらゆる体位でSEXしまくり、疲れるとベットの上に横たわるスリョンの股間に顔をうずめてムグァンはスリョンの秘部を優しくなめ続けた。3日3晩やり尽くし、さすがに疲れた2人は首席様の下賜品を互いに壊し、更には首席語録の書籍等を踏みつけたり首席選集を破り捨てたりして、他人にバレたら命の保証ができないくらいの秘密を共有し合った。互いに結婚はできないものの、相手を胸に秘めて生きていくことを誓い、スリョンはムグァンを幹部に昇格させると約束する。そんな2人の行動を窓の隙間から監視兵が覗き見し立ち去るが、2人は気付かなかった。スリョンはムグァンに、ムグァンに対するスリョンの愛は、スリョンに対するムグァンの愛よりも、百倍千倍万倍も強いと3回復唱させた。師団長が帰宅する前日の夜、2人は満月の下で寝そべった。スリョンはムグァンに月経が来ないからもしかしたら子供が出来たかもしれないと打ち明け、ムグァンに怖がらなくても大丈夫、いつものように師団長の前では私が振舞うから、ムグァンは長期休暇で故郷にしばらく帰るといいと言う。最後の夜も星空の下で2人は結ばれる。翌朝、また会えますかとのムグァンの質問に、スリョンは無言で答え、悲しげな様子で故郷に帰るムグァンの後ろ姿を見送った。師団長は家の中には部下を誰一人としてあげず、一人で荒れ果てた家の中を片付けた。故郷に帰ったムグァンは妻とSEXしようとしなかったので、妻からどうしてしないのか尋ねられるが、幹部になるまでは妻に手を出さないと約束したからだと説明する。家では炊事や洗濯をし、妻から何度も止められる。”人民に奉仕せよ”のスローガンが書かれた板を肌身離さず持ち歩き、畑仕事にも精を出すムグァンは、我が子が板を三輪車で轢く、平手打ちをする。その後部隊に戻ったムグァンはスリョンの口利きで都市部の工場の工場長に昇格する。工場長は大将よりも地位が高い。異動の前日、監視兵の口を塞ぎ2人の関係を知りながら黙っていた上司の指導員は予備役に回されることになったのでそれを何とか回避しようとしてムグァンにスリョンへの最後の挨拶をする機会を与える。その代わり部隊に残れるようスリョンに頼んでほしいと言われる。スリョンはふっくらしたお腹の上にムグァンの手を添えさせ、指導員の役には今は立てないと告げる。師団を解散することになった師団長は、家の2階からライフル銃を一旦はムグァンに向けるが、すぐに壁に掛けた軍服を目掛けて乱射する。15年後、工場長になったムグァンは新しいスリョンの家に訪れる。15歳位の青年が庭で自転車に乗っている姿を遠くから眺め、日を改めてスリョンに会いに行く。スリョンは姿を現さずに、“何かあったらこの手紙に書いて届けてくれ”とメモして、用紙だけ渡した。(エンドロールが流れた後)3日後、元師団長と息子が家の中で仲良くチェスをしていると、スリョンは2人に向かって、両親はもういないが、兄弟に会いに故郷に行ってくると言って出掛け、そのまま姿を消した。彼女がどこに行ったのかは誰も知らない。