2020年3月31日第1版第1刷発行 2021年6月10日第1版第13発行
裏表紙には「『具体⇔抽象』とは、抽象化と具体化という形で具体と抽象を行き来する思考法のこと。斬新な発想ができるようになるだけでなく、無用な軋轢やコミュニケーションギャップの解消にも役立つ。そこで本書では、『抽象化と具体化の基本動作』か『仕事・日常生活における実践・応用の仕方』まで解説するとともに、トレーニング問題を多数用意。問題を解くうちに『具体⇔抽象』の思考回路が身につき、『自分の頭で考える力』が飛躍的にアップする一冊!」とある。
抽象思考はwhy?、具体思考はhow?を使って考える、誰もが皆自分と同じように抽象思考が得意だというわけではない、リープフロッグは自分にも起こり得る(人に先を越される危険性と捉えるように、とは書いていないが、そう受け止めた方が懸命だ)という箇所には得心がいった。モノづくり教信者の、バラツキは悪、標準化せよなどという日本のデジタル化を阻む障壁分析も一定程度は正しいと思う。
が、目からウロコを期待していた私にとっては物足りなさを感じた。その理由は私が日常実践していることを文字化しているとの感想は持てたものの、筆者独自の一度読んだら忘れられないキャッチフレーズで事の本質を的確に表現し切れていないところにあると思う。痒い所に手が届いて力加減も的確で程よい掻き方ができているなあという読後感をこのテーマで読者に持たせられられたら幸せだったのに、と思う。が、何物ねだりするのではなく、自分でそういう文章が書けるよう更に精進せねばならないと自戒する。