日本の宗教とキリストの道 門脇佳吉

政治学者の丸山眞男イエズス会の講演で「日本にはマルキシズムキリスト教は絶対に入らない。なぜならどちらもしっかりした理論的体系を持っているから」と述べたとか。そして筆者は鎌倉仏教を例に出して確かにそうだと。親鸞は念仏に,日蓮は題目に,道元は只管打坐(しかんたざ)の一行に仏教の全ての教義をドロドロに融かしてしまってそれを一つの行に集約したという。ここから古神道日蓮親鸞道元,そして老子キリスト教の関係に論を発展させて,最後に「日本人の宗教性の多重構造とキリスト教の新しい姿」に言及する。
ちなみに親鸞日蓮道元との共通性では①行の重視②深い思索による根拠付け③人格完成と広い世界観の確立の3点を挙げている。キリスト教と仏教を学ぶには中々の教材です。著者は上智大学名誉教授。カトリック司祭。