奉教人の死 芥川龍之介

初出は大正7年9月。切支丹物の傑作の一つとされる。
「聖人伝」の中の「聖マリナ」を材源としたと解説にある。この元は「黄金伝説」であり、これも参照したかもしれないともあった。志賀直哉を除いて衆口一致傑作と称賛されているらしい。
美少年ロオレンゾに不貞密通の嫌疑をかけられ、破門となった後、長崎の大火の際に、ロオレンゾが、娘の子を助けるために家事の中に入って、命をなげうって子を助ける。娘が、実はロオレンゾの子でないと告白し、息を引き取る前にロオレンゾが破けた服から乳房が見えて、実は女性であったことが判明。みな涙したという話。「殉教もの」である。