レイチェル・カーソン 『沈黙の春』で環境問題を訴えた生物学者 筑摩書房編集部

2014年10月25日初版第1刷発行

 

 理想は、スキンカー先生からレイチェルへ、そして、レイチェルから次の誰かへ、さらにまた次の誰かへ・・・、そのように受け継がれていくことによって、ほんのわずかずつではあっても、目指すところへと近づいていく。その可能性を残したというだけでも、先生の人生は価値あるものでした。

 これは男性社会の中で差別や偏見の中で女性の科学者として自立しようとして努力し続けたスキンカー博士(生物学)が57歳で亡くなったことを踏まえての記述です。今の時代からは想像できませんが、ひと昔前はそういう時代だったのかと驚きました。

 

殺虫剤として世界中で使われていたDDTが持つ、恐ろしい環境破壊の告発。大論争が起きた後、ケネディ大統領が大統領直属科学諮問委員会が8カ月の調査検証を経て公表した報告書によってこの問題に終止符が打たれた。

 

レイチェルの友人宛ての手紙に

「目的を達成するためには、人はみな大きな夢を見なければなりません。大望を抱くことを恐れてはなりません」(『レイチェル』リンダ・リア著、上遠恵子訳、東京書籍)

とあった。この一言が、若き日から56歳で亡くなるまでのレイチェルの人となりを最も良く紹介しているように思います。