尖閣諸島って、日本の固有の領土なの?それとも中国の固有の領土なの?どちらの言い分が国際法に適っているの?どうして石原慎太郎は国有化するなんて言ったの?台湾は?アメリカは?って色々な疑問が付きまとう複雑な問題ですが、この論考を読んで、日本の主張の根拠、また中国の主張の根拠がわかり、しかもそこにアメリカの施政権と領有権の分離論という曖昧さが加わり、かつ台湾の態度が複雑さを増していることを、すごく説得的に書いてくれています。いつもの連載より4倍もの分量を費やしてくれているから「特別篇」なんですね。
サンフランシスコ講和条約で、アメリカは日本に返還する地域を限定し、その中に尖閣諸島が入っていること、後に中国はサンフランシスコ講和条約を追認していること、で問題解決かと思いきや、アメリカが中国に配慮して施政権と領有権を分離して領有問題には中立という曖昧な態度を取ったことで話が複雑になってしまっていることなど、知らなかったことを物凄く分かり易く解説してくれています。
日本の外交戦略についても言及されていますが、外交は専門外なので、これを読み解くのは容易ではありません。そういう考えもあるんだな、という程度のことしか理解できません。が、問題の背景に何があるのか、を知る上ではとても役に立つ論稿でした。