リア王 ウィリアム・シェイクスピア 原作 小田島雄志 文

2016年9月初版第1刷発行

 

40歳を越えた円熟期に書いた作品。世界文学が生んだ最高の悲劇と言われている。

古代ブリテンを治めるリア王には、ゴネリル、リーガン、コーディーリアの3人の娘がいて、3人に国を譲るつもりだったが、父親が行った愛情テストに追従する長女と次女とは対比的に末娘のコーディーリアは2人と異なって娘として相応しい言葉を述べる。しかし、リア王はお追従の2人の姉より愛を述べなかったと頭に血が上って国を譲ることを取りやめてしまう。そんなコーディーリアとフランス王は結婚する。ところがリア王は、結局、その後、ゴリネルからも、そしてリーガンからもぞんざいな扱いを受け、城を追い出され、発狂してしまう。同時にリア王に仕えたグロスター伯は、本妻との間の息子エドガーと愛人との間の息子エドマンドとが対立し、エドガーも狂った姿を演じることに。エドマンドの表向きの姿しかしらないゴリネルやリーガンはエドマンドを奪おうと、醜い争いを演じ、それぞれ夫を裏切っていく。そしてリア王に続き、コーディーリアも、エドマンドも、そしてゴリネルもリーガンも次々と死んでいく。救いようがない悲劇。最後はエドガーとゴリネルの夫オールバニ公がブリテン再建を果たしていこうとする場面で終わるものの、結局、父と子との関係はいつでも難しい問題であることを感じさせる。父は子をかわいがるが、子はやがて煩わしいと感じる。そんな人間って何なんだろうというテーマを取り上げている。