茶の本 岡倉天心 (大久保喬樹)

NHKの100分de名著シリーズ。東京大学第1期生として学んだあと、文部官僚となり、日本美術行政を主導。西欧化一辺倒の時代にあって日本の伝統美術の精神性の高さを見抜いていた天心の考えは理解されずボストン美術館で東洋美術部門の責任者として仕事に従事。東洋文明のあり方を説いた集大成がこの本だという紹介文が最初に掲載されているが、これにより天心という人物がいかに卓越した先見性を持った人物であるかが分かる。天心の「不完全性の美学」という着想は、これまでの自分にはあまりなかったので新鮮に感じた。同時代に確か武士道と茶の本が英語で出版され、海外でそれぞれにそれぞれの評価がなされていると思うが、それぞれこの時代に英語で本を出す日本人というのはすごい人たちだと思う。一昨日、私事で英語の勉強の必要性を今更ながらに感じる出来事があったが、やはり継続は力なり、で続けなければいけないと自戒。