100分de名著 五輪書 宮本武蔵 魚住孝至

敵を崩す、という観点からの考察・表現が大変細かいけれども、非常に優れています。
・勝負の最中にわざとゆるりとして、敵もそれにつられてゆるんだところを、強く速く先に打ち込む(「移らかす」)。
・敵が思いもしないことを仕掛けて、敵を「むかつかする」。
・敵に確かな心を持たせないように「うろめかす」。
・敵の意表を突いて、身でも太刀でも声でも敵を「おびやかす」。

敵に攻めさせないで勝負に勝つことや敵の強みを消すことについても具体的に言及されています。

「勝負に勝つ」ための指南書としていろいろな観点を教えてくれる大変示唆に富んだ書物だと思います。