努力論 幸田露伴 「直接」の努力と「間接」の努力 小さな努力で「人生の幸福」を増やす法 齋藤孝 訳・責任編集

「努力していることを忘れて努力する」ことを最終目標としている本書。百年に一度の頭脳と言われた露伴が2つの努力をどう実践したらよいか、露伴自身の経験を踏まえて書いたとされる。
 努力にはどこから着手するのかの「かんどころ」が大事だ、「普段の気づき」を増やすこと、専門に入る前に日常の工夫ができるように、「カンどころ」をつかむために不可欠な「誠心誠意」、つまらないことまでよくできて、そして謙遜しているのが、聖人賢者である。
「血をもって気を率いてはならず、気をもって血を率いよ。
 気をもって心を率いてはならず、心をもって気を率いよ。
 心をもって精神を率いてはならず、精神をもって心を率いよ」
 自分が決めたことを実行する習慣をつけ、習慣によって自信を強め、自信によって有益な勇気を持つ者となるべきである。
 本当の意味で自分と社会の福利に貢献しようとするなら、過程の短縮という目標を旗印として進まなくてはならない。
 これまでとは少し違った「役回り」を演じる。何によって自分を新しくするのかを決めなくてはならない。自分で自分を新たにするのか、他者を使って自分を新たにするのか。
 ①貧は人を鍛え、人を練る。②貧窮は友を洗う。③貧窮は真を悟らせる。④貧窮は人を養う。

 含蓄深い言葉のオンパレードの本だ。
 そもそも人として国宝級といわれた露伴というのはどういう人物なのだろう。「五重の塔」の筆者ということぐらいしか知らないので、どうすればこの人物のことがより深く知ることができるのだろうか。