権力に迫る「調査報道」 原発事故、パナマ文書、日米安保をどう報じたか 高田昌幸+大西祐資+松島佳子編著

①日々飛び立つ自衛隊機「いったい何を運んでいるのか」その自問を執念で追いかけた
秦融氏・木村靖氏(中日新聞)に聞く
「今だけ良ければいい」という刹那の権化みたいなものを僕は感じていた。彼らは、選挙に通るためなら何でも言うわけじゃないですか?それなのに自分が関係なくなると、全く責任がないわけ。要は、責任を取らない政治家への怒りみたいな部分です。
原発事故の「真相と深層」に迫る
日野行介氏(毎日新聞)・萩原豊氏(TBS)に聞く
萩原記者、テレビクルーの計5人は、正式に会社の許可を取り、避難指示区域に入って、取材活動を行った(当初から「炉心溶解」を伝えたが、「損傷」という言葉に変わっていった背景にも言及)。
何かあったら、個人がその家族の面倒を見るのか?そんなことできるわけはない。やっぱり、会社、組織として、取材者を守りながら取材をすべきだと思う。そのために、組織ジャーナリストはいるわけです。
調査報道のための研修制度や研修期間はTBS内にはあるんですか。との質問に対し、
ないですね。ただ、月並みだけども、大切なのは、記者の問題意識、ささやかな憤り、怒りといったものだと思う。
③情報公開制度を駆使する。日下部聡氏(毎日新聞)に聞く
クラブ詰めの記者になると、日々の動きを追うことばかりに目が行ってしまい、それ以外の感度が鈍くなる。
新聞の役割、活字メディアの役割全体を今の「速さ」ではなく、「深さと幅広さ」にシフトしないと、メディアとしても生き残れないんじゃないか。
④調査報道の新しい形を目指す。アレッシア・チェラントラ氏(フリーランスジャーナリスト)・立岩陽一郎氏(調査報道NPO「iAsia」)に聞く
犯罪が国際的になっているんだから、ジャーナリズムも国際的にならないといけない。
⑤権力監視の条件と環境 高田昌幸
調査報道は端緒が全て。
⑥なぜジャーナリズムは絶滅へ向かうのか 大西祐資
⑦インタビューを終えて 松島佳子
デービット・ケイの調査終了後の記者会見での発言「日本では押し返す力が見えません。ジャーナリストの皆さんに奨励したいのは、皆さんがよりプロフェッショナルとなるため、報道各社の壁を超えて、メディアを横断するネットワークを設立することです。プロのジャーナリスト集団として団結することで独立性を保つことを奨励したいと思います」(まさしく正鵠を得ていると思われる)