ドン・キホーテ セルバンテス作 牛島信明編訳(岩波書店)

wikiによれば、2002年5月8日にノーベル研究所と愛書家団体が発表した、世界54か国の著名な文学者100人の投票による「史上最高の文学百選」で1位を獲得した、とのこと。

 

確かに、グイグイ引き込まれて、長編なのに、あっという間に読めてしまえる、とても面白い小説です。色々な読み方が出来るという意味でも、一級品。古典的名作の一つに数えられるのも、頷けます。

騎士道物語を読みふけって日常と空想の区別がつかなくなってしまった狂人のドン・キホーテが、従者のサンチョ・パンサと一緒に冒険に出て、様々な出来事を体験する物語。パンサが次第に成長していく様も面白いし、狂人なはずのドン・キホーテが語るセリフやサンチョが、ときどき意外なほどに、我々をはっとさせる言葉であったり、最後に正気に戻ったドン・キホーテがあっさりと大往生を遂げるのも、さもありなんという感じです。

サンチョが最後の方で「おのれに勝つってえのは、勝利のなかでもいちばんすげえっつうことだ」と語る場面が出てくる。またドン・キホーテが「いまわの際に、人はおのれの魂を軽んじ、もてあそんではならないのです」とも。

ホセ・セグレーリュの挿絵も素晴らしい。