世界 2021年4月号 特集1「デジタル監視体制」

この特集下で以下の論考がずらりと。

小笠原みどり「パンデミック監視資本主義の台頭

         ーデジタル網に閉じ込められる私たち」

小倉利丸 「デジタル庁構想批判の原則を立てる」

武藤糾明 「実装される監視社会化ツール」

倉澤治雄 「中国デジタル革命と監視社会の行方」

佐藤 隆 「『個別最適な学び』の名にが問題かーICTがもたらす教育の危機」

内田聖子 「人々による人々のためのデジタル社会へ

         ー監視社会化に抗する”恐れぬ自治体”」

     最後の内田さんの論考が特に面白い。

     バルセロナでのバルセロナ・コモンズという名の市民プラットフォームが組織され、後に地域政党となり、201年には第1党の座を獲得するまでに成長し、名簿筆頭のコラウ氏が市長になったことを紹介しつつ、現在2期目とも。バルセロナの気候緊急事態宣言のことは「人新世の資本論」で知ったが、バルセロナは、それだけでなく、市民参加型の政治が実現しているので、私立保育園、公営住宅の増設、水道はじめ公共サービスの再公営化、自然エネルギーを供給する公営企業「バルセロナ・エネルギー」の設立。更に国家や大企業を恐れない自治体の国際ネットワークを呼びかけ、2017年6月に第1回目の会合が同市で開催され、40か国、5大陸から180以上の自治体が参加して議論を行ったことが紹介されている。市民が市政に参加するためのプラットフォームが出来たのが大きい。これこそ、日本のデジタル庁が目指すべき方向だと思う。日本の国会議員、また、あまたの自治体の方々に、大いにバルセロナのスマートシティ計画を学んで見習ってほしい。

 デシディム(Decidim)というデジタル参加型プラットフォームに市民がアクセスし、様々な提案をして、議論し、賛成・反対の意思表示を行い、最終的に市議会に提案される。議会での議論がデシディム上でチェックできるのでプロセスが可視化できる。日本でも加古川市が始めたが、まだ参加市民が185名で従来の掲示版の域を出ていないらしいが、そのチャレンジングは素晴らしいです。