英詩のこころ 福田昇八

2014年1月21日第1刷発行

 

裏表紙「唱歌蛍の光』は知っていますね。では、そのメロディーで歌われる英詩をご存じですか?『忘れられようか 幼なじみ』ではじまるバーンズ作『遠いあのころ』です。愉快なうた、恋のうた、かっこいいうた、これぞsadといううた、・・・。名文句の宝庫である英詩を、まず原文のひびきを伝える訳詩で、つぎに原詩を、声を出して味わってみませんか」

 

36篇の英詩を収めた本書は、名文句を太字で示し、原文の長さを75の日本語に訳詞を反映させている。訳詞も素晴らしいが英語の原文で英詩を味わえる貴重な一冊。

 

私のお気に入りは、「23 最愛の妻も亡くしてしまった」に収められた、

 アナベル・リー  エドガー・アラン・ポー

 むかしむかしのことでした     I was a child and she was a child,

 海のほとりの王国に                   In the kingdom by the sea;

 住んでいました女の子              But we loved with a love which was more tyan love-

  名はひと呼んでアナベル・リー、       I and my Annabel Lee―

 思いはひとつこのぼくと      With a love that the winged serraphs of heaven

  愛し愛され暮らすこと。               Coveted her and me.

 

7章では「34 『カンタベリー物語』「序歌」のはじまり(チョーサー)」、「35 護身の武具に身を焼かれ(スペンサー『妖精の女王』)、「36 『失楽園』のクライマックス(ミルトン)」の英詩三大叙事詩が取り上げられている。叙事詩は読者を韻律のひびきと内容で楽しませることと読者を正しく生きる道を教えるという二つの目的で書かれており、読んで楽しいのが叙事詩、と説明されている。この本を読んで英詩の韻律の意味がよく理解できた。なかなか英詩を一部であっても原文で読む機会がないだけに貴重な勉強の機会となった。